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シカゴAACMジャズの伝統を移植したイタリアン・カルテット ルーツ・マジック

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Roots Magic  TAKE ROOT AMONG THE STARS.jpg

なんじゃ、このレパートリー !?
オーネット・コールマン、サン・ラ、フィル・コーラン、チャールズ・タイラー、
カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイヤというフリー/アヴァン・ジャズに、
チャーリー・パットン、スキップ・ジェイムズというデルタ・ブルースの取り合わせ。
これが3作目という、ルーツ・マジックなるイタリアはローマの2管カルテット。
60~70年代フリー・ジャズと20~30年代ブルースの組み合わせは、
13年結成時からのコンセプトなんだそう。

面白いねえ。ビバップをすっ飛ばす知性は慧眼で、まさにグループ名を体現しています。
アフリカン・アメリカンの遺産を、もっとも自由で即興的なジャズで再解釈して、
独自の音響とサウンドスケープを生み出そうという試み。
豊かなインスピレーションと創造的なアイディアが、満ち溢れていますよ。

サックスとクラリネットがエキゾティックなテーマをゆるやかにつむぐ、
オープニングのフィル・コーランの‘Frankiphone Blues’ では、
ゲストのヴィブラフォンとベースがハーモニーをかたどり、
ゲストのフルートがアブストラクトなインプロヴィゼーションを披露しながらも、
そのサウンドには、かなり精巧に仕上げた構成が聴き取れます。

一方で、フリー・ジャズのエネルギーを噴出するカラパルーシャの
‘Humility In The Light Of The Creator’ や、
オーネットの‘ A Girl Named Rainbow’ では、
即興演奏家としての確かな実力を聞かせてくれ、
多層的なリズム構成を柔軟に演奏しているところなど、目を見張ります。

原曲の跡形もないスキップ・ジェイムズの‘Devil Got My Woman’ では、
ベースの反復フレーズにのせて、サックスが奔放に踊り、
一転して二管が後景に引くと、ドラムスがパーカッション的なプレイで、
リズムをリードしていく趣向が面白い。

チャーリー・パットンの‘Mean Black Cat Blues’ は、
クラリネットが原曲のメロディを狂おしく吹き、サックスが激しく咆哮するバックで、
ドラマーがタム回しをする、循環的なリズム・フィギュアを採用するのは、
‘Devil Got My Woman’ と同じ彼ら流のブルース解釈のようです。

ラスト・トラックの‘Karen On A Monday’ では、さまざまな楽器が漂流して、
混沌とした世界を提示していて、聴後の満足感を高めます。
う~ん、スゴイな、このグループ。
シカゴAACMジャズの伝統が、イタリア人カルテットに乗り移るとは。
こりゃあ、1・2作目も聴いてみないわけにはいきませんね。

Roots Magic "TAKE ROOT AMONG THE STARS" Clean Feed CF545CD (2020)

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