まるで、ムーンチャイルド。
うわぁ、南アからもこういう音楽が出てくるようになったのね。
な~んてキモチいい、たゆたうサウンド。いっぺんでトリコになりました。
セバ・カープスタッドは、南アとエスワティニ出身の男女ジャズ・ヴォーカリストに、
ドイツ人2人によるユニット。両国を行き来しながら、活動をしているそう。
ネオソウル、ヒップ・ホップ、ジャズが結びついた音楽性は、
冒頭でムーンチャイルドを引いたとおりです。
ダーバン出身の女性ヴォーカリスト、ゾー・マディガは、
大ヴェテランのルイス・モホロから、ベンジャミン・ジェフタやタンディ・ントゥリなどの
新世代ジャズの俊英たちと共演歴を持つ実力派。
といっても、その歌声はジャズを意識させるより、
ジル・スコットやエリカ・バドゥの系譜をうかがわせる、
ヒップ・ホップ色濃いスタイルですね。
一方、エスワティニ出身のンドゥミソ・マナナは、中性的なイメージの強いソフトな声で、
フランク・オーシャンあたりと親和性のあるシンガーです。
セバスチャン・シュスターの弾く鍵盤に、
フィリップ・シェイベルのドラムスとプログラミングが、
二人のヴォーカリストをミニマルでエレクトロニックなグルーヴで包み込み、
メランコリックで浮遊感たっぷりなサウンド・スケープを描いていきます。
洗練されたアーバン・コンテンポラリー・サウンドに、南ア色は皆無と思いきや、
途中、アフリカ的なリズムが背景に滑り込み、
遠景でズールー語でチャントするのが聞こえてくる‘Magic’ や、
南アらしいメロディをピアノが紡ぐ‘Home’ があるなど、
南ア音楽ファンの頬をゆるませる場面もあって、ほっこりさせられます。
Seba Kaapstad "KONKE" Mello Music Group MMG00154-2 (2021)