チアゴ・フランサ率いる大所帯バンド、
ア・エスペタクラール・シャランガ・ド・フランサのお披露目作。
ブラジル本国でリリースされる気配がないので、
UK盤をプリ・オーダーしていたんですが、大晦日に届きました。
ベロ・オリゾンチ出身、サン・パウロで活躍するサックス奏者チアゴ・フランサは、
メター・メター、キコ・ジヌスィなど、サン・パウロのアヴァン一派のひとり。
そのチアゴ率いるカーニヴァル・バンドは、
サンバ、マルシャ、フレーヴォはじめ、スカ、クンビア、バイレ・ファンキなどの
ダンス・ビートを駆使して生演奏するビッグ・バンド。
いわばブラジル版渋さ知らズ、でしょうかね。
サン・パウロのカーニヴァルは、警察当局が管理しやすいよう、
労働者階級を遠ざけることを目論んで、70年代にストリートから取り上げられ、
専用アリーナで催されて、すっかりスポイルされたものとなっていました。
チアゴは、カーニヴァルをもう一度ストリートに取り返して、
何千人という路上生活者のために演奏し、
カーニヴァルのエネルギーを取り戻そうとしました。
2010年代に新市長に代わり、
カーニヴァルをストリートへ復帰させる支援が始まったのを機に、
チアゴが13年にア・エスペタクラール・シャランガ・ド・フランサを結成すると、
一大ムーヴメントが巻き起こりました。そして20年のカーニヴァルでは、
60人の管楽器奏者と30人のパーカッショニストを編成して1万5千人以上の観客を集め、
サン・パウロのカーニヴァルの復活を象徴する存在となったそうです。
ちなみに、ブラジルのシャランガ charanga とは、キューバのチャランガとは違い、
サッカーの試合の応援で演奏されるブラス・バンドを指すものです。
ア・エスペタクラール・シャランガ・ド・フランサのコンセプトは、
デカい音で鳴らすこと。パワフルに、エネルギッシュに、がモットー。
スムーズに演奏することや、アレンジのためにダイナミクスをコントロールすることは、
タブーなんでありました。
これまでデジタル配信してきた曲に加え、新曲を2曲加えた初CDは、
冒頭からクンビアで始まり、マイケル・ジャクソンの‘Don't Stop 'Til You Get Enough’ を
クンビア・ヴァージョンにしてカヴァーするなど、
ブラジル国境も軽々と越えた、痛快なブラス・バンド・サウンドを爆裂しています。
渋さ知らズ、ニュー・オーリンズ、クンビアのファンも、ぜひお試しあれ。
Thiago França Presents A Espetacular Charanga Do França "THE IMPORTANCE OF BEING ESPETACULAR" Mais Um no number (2021)