64年、サンティアゴ島プライアに生まれた
カーボ・ヴェルデのサックス奏者トティーニョこと、
アントニオ・ドミンゴ・ゴメス・フェルナンデス。
セザリア・エヴォーラのバンドで14年間演奏してきた人で、
セザリアの06年作“ROGAMAR” のジャケットで、
セザリアの前にデカデカとジャケットを飾っていた人です。
この人の99年のソロ作“SENTIMENNTAL” は、
モルナを中心としたインスト集で、ムード・テナーみたいな演奏のアルバムでした。
ストリングスを施した甘ったるさもいただけず、とっくに売却処分してしまったので、
今回見つけた12年作も、ちょっと警戒して聴き始めたのでした。
ところが、出だしから、気合の入ったテナー・サックスのブロウで始まり、
おおっと身を乗り出しちゃいました。
ベースのジム・ジョブとドラムスのカル・モンテイロが
アレンジとプロデュースを務めていて、
レコーディングも二人の名前のスタジオで行われています。
アメリカで作られた自主制作盤で、
ミュージシャンに知っている名前はまったくありませんが、
アメリカ在住のカーボ・ヴェルデ人たちなのでしょうね。
モルナ、コラデイラを中心とした爽やかなインスト集で、
小編成のバックが、緩急の利いた演奏を繰り広げています。
トティーニョの歌ごころに富んだ吹奏はギミックもなく、
ストレイトに演奏していて、甘さに流れることなく、気持ちよく聴けますね。
ヴァオリンとチェロの弦セクションをフィーチャーして、
軽快なリズムを刻むコラデイラでは、ソプラノを爽やかに吹いていて、
吹き抜ける潮風を頬に感じます
Totinho "NHA HOMENAGEN" Antonio Domingo Gomes Fernandes & Fulan Productions no number (2012)