ローカル臭たっぷりの、このジャケットがたまんないんです。
カーボ・ヴェルデの歌手が79年に出したレコードなんですが、
場末感をかもし出す田舎くささが、味わい深いじゃないですか。
こんなマイナーなレコードが、まさかCD化されていたとは、思いもよりませんでした。
LPのジャケット・デザインから、
タイトルと歌手名のロゴタイプだけを変えているんですが、
オリジナルのデザイン性のない文字体より、
変更したCDのロゴタイプの方が、ジャケ写のチープ感にお似合いですね。
CD化で字体を変えてオリジナルより良くなるって、めったにないことだなあ。
シキーニョといえば、ブラジルのアコーディオン奏者が有名ですけれど、
このカーボ・ヴェルデのシキーニョ・ニーニャは、経歴不明の無名のシンガー。
ヴォス・デ・カーボ・ヴェルデをバックに歌った74年作と本作の2枚しか、
レコードは知られていません。
本作では、カーボ・ヴェルデ音楽を電子化した立役者、パウリーノ・ヴィエイラが
アレンジを務めていますが、まだシンセを導入する前の録音で、
オルガンとピアノにエレクトリック・ギターもパウリーノが弾いています。
サックスとトランペットの2管が加わっているのが貴重で、
ほっこりとした温かみのあるサウンドを生み出しているんです。
70年代らしく、コンパ、メレンゲ、クンビアなどラテン・リズムを取り入れた曲が多く、
カーボ・ヴェルデの伝統リズムを生かした曲は登場しません。
カーボ・ヴェルデ音楽のアイデンティファイを確立する前のサウンドともいえます。
オルガンとエレクトリック・ギターのサウンドと、
サックスとトランペットの2管がブレンドした、いなたいサウンドが、サイコーです。
のちにシンセが取り入れられて、ポップ・フナナーが登場する80年代になると、
こうしたラテン風味のクレオール・ポップは一掃されてしまうので、
このシキーニョのB級サウンドは、得難い時代の音なのでした。
Chiquinho "MOÇAS DE SOMADA" Sonovox CD129 (1979)
[LP] Chiquinho "MOÇAS DE SOMADA" Iefe IEFE010 (1979)