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秋の夜長のフィーリン アイデー・ミラネース

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Haydée Milanés  CANTA A MARTA VALDÉS.jpg

厳しい夏が過ぎ、秋めいてくると聴きたくなるフィーリンですが、
今年は新たなアイテムが加わりました。
それが、アイデー・ミラネースの5作目にあたる新作。
ヌエバ・トローバの大物、パブロ・ミラネースの娘さんですね。
魅力のないお父上とは違って、アイデーはジャズやMPBの影響を受け、
現代っ子らしいセンスを持った歌い手さんとウワサに聞きます。

まだこの人のアルバムは持っていなかったんですが、
フィーリン第二世代を代表する女性作曲家
マルタ・バルデースのソングブックという今回の企画に、
初めて手を伸ばしたところ、うわぁ、スゴクいいじゃないですか。

マルタ・バルデースの代表曲である「パラブラス」「ジョラ」「パラブラス」などを、
ジャジーなサウンドをバックに、フェミニンな歌い口で歌っています。
マルタ・バルデースの醸し出す気品とは別ものの、
キュートな色香が漂うアイデーのフィーリンもまたいいですねえ。

ギターのアルペジオに導かれて歌い出すアイデーに、
自身が弾くピアノ、エンリケ・プラのドラムス、ホルヘ・レジェスのベースといった
ヴェテラン勢が音を重ねていき、トランペット・セクションが要所で脇を固めます。
多重録音のハーモニーで聞かせる曲は、まるでクアルテート・エン・シーみたいだし、
ミルタ・バティスタのアルパをフィーチャーした曲も粋な仕上がりで、
1曲1曲趣向を凝らしたアレンジが鮮やかです。

アルバム全編通して、余計な音を重ねない、引きの美学に徹したプロダクションで、
申し分のない仕上がりとなっています。
アイデーの気取らない素直な唱法も好ましく、
フィーリンという繊細なモダンさを表現するのに向いた資質の持ち主といえます。

マルタ・バルデースのフィーリンを歌うには、まだ若すぎるんじゃないの?
な~んて聴く前は思ってたんですが、どうしてどうして。
しっとりとしていて、いい味わいです。
マルタ本人が登場して、デュエットする1曲もお楽しみ。
秋の夜長にぴったりの1枚です。

Haydée Milanés "CANTA A MARTA VALDÉS" Bis Music CD982 (2014)

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