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蘇るソフィアタウン・ジャズ ムルンギシ・ゲガナ

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Mlungisi Gegana  ONE STEP FORWARD.jpg

カイル・シェパードの5月の来日に刺激を受け、
最近の南ア・ジャズって、どうなってるんだろうとサーチしてみたら、
ぽつぽつとではありますけど、いい作品が出ていたんですね。

21世紀の南ア音楽は、ガラパゴス化の傾向がますます強くなっていて、
ポップスもジャズもフォローする気が、正直ほとんど失せてます。
南ア・ポップの特徴をどんどん薄めるばかりの、
グローバル化されたポップスだらけの状況に、ほんとガッカリなんですが、
ジャズの方は、南アらしい伝統の味わいがしっかりとにじみ出ていて、
まだまだ捨てたもんじゃありませんね。

そんな嬉しい発見が、聞き逃しの04年のこの作品。
東ケープ州クイーンズタウン出身のムルンギシ・ゲガナというベーシストのデビュー作。
クイーンズタウンといえば、名トランペッターのモンゲジ・フェザを生んだ町ですね。
61年生まれのゲガナは、86年にケープ・タウンに居を構え、
自己のバンドを率いてから本格的な活動を始め、その後ジョハネスバーグに移り、
スタジオ・ミュージシャンとして数多くのセッションをこなしてきた実力者だそうです。

本作は満を持してのデビュー作だったようですが、
2作目は10年後の14年になってようやくリリースしたというのだから、寡作の人です。
その2作目はまだ未聴なんですが、このデビュー作が素晴らしい。
楽曲がいいんですよ。
どの曲も、これこそ南アとうならされる陽性のメロディに溢れていて、
全曲ゲガナの作だというのだから、頼もしいじゃないですか。

テナー・サックス、トランペット、トロンボーンの3管に、
ゲガナのベースに、ピアノ、ドラムス、ギター、パーカッションという編成で、
ヴォーカルやコーラス入りの曲もあります。
かつてのソフィアタウンのジャズを蘇らせる気概を感じさせる、
ゲガナのミュージシャンシップが、アルバムに深みを与えています。

Mlungisi Gegana "ONE STEP FORWARD" Gallo Jazz CDGURB058 (2004)

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