ブルキナ・ファソのマンディンゴ人シンガー、ヴィクトル・デメが今月21日に亡くなられたそうです。
まだ53歳という若さで、病院に向かう途中で息を引き取ったとのこと。
マラリアが死因だったというのには驚かされました。
成人したアフリカ人はマラリアの免疫を持つので、
亡くなるようなことはないとばかり思っていたんですが、
マラリアで命を落とすのは小児とは限らないんですね。
ヴィクトル・デメは、46歳にしてデビュー作をようやく出した苦労人の歌手です。
アビジャンでプロとなり、アブドゥライ・ジャバテのシュペール・マンデにも参加しましたが、
ブルキナ・ファソ帰国後は、音楽で生計を立てることができず、
仕立て屋をしながら、細々と歌い続けてきたという人でした。
08年にリリースしたそのデビュー作は、ブルージーなナンバーを力の抜けた声で歌い、
苦節の日々が滲む、味わい深いアルバムでした。
4万枚のセールスをあげ大成功となったデビュー作は、
『ブルキナファソからの黄昏アフロ・ブルース』という秀逸なタイトルが付けられ、
日本でもリリースされました。
10年6月には、日本にも来てくれたんですよ。
気さくな人柄で、歌手というより、近所のおじさんのような親しさを感じさせる人でしたねえ。
ニコニコしていた笑顔が印象的だったなあ。
遅咲きだったからこそ、まだまだ活躍してほしい人でした。残念です。
Victor Démé "VICTOR DÉMÉ" Chapa Blues CPCD001 (2008)