梅津和時とグラント・カルヴィン・ウェストンの共演作!!
うわぁ、これは意表を突かれたなあ。
オーネット・コールマンのプライム・タイムのドラマーであり、
ジェームズ・ブラッド・ウルマーを支えたドラマーとしても忘れられないウェストンと
梅津さんが、フリー・インプロヴィゼーションを繰り広げるだなんて、夢のよう。
ぼくにとってお二人は30年来、いや、もっとか、のファンですからね、
願ってもないアルバムです。
2017ベスト・ジャケット大賞を進呈したい傑作ジャケットは、
二人がメンチ切りしていて、『対決』というタイトルも戦闘モード丸出し。
ラストのオーネット・コールマンの“Lonely Woman” 以外、
すべて完全即興、しかも全曲ワン・テイクで録ったという、
おそるべき集中力による作品。
圧倒されるのは、梅津の引き出しの多さ。
淀みなく溢れ出す音列はラプソディカルでも、その饒舌さに文学性や演劇性がまとわず、
純音楽的な演奏に徹するところが、梅津の一番の魅力ですね。
そして、次々と繰り出す梅津の技に、
フレキシブルに対応するウェストンの柔軟なドラミングも最高。
梅津が引っ張る演奏もあれば、カルヴィンの手数の多いドラミングの後を追って
梅津が吹く曲もありの、完全な互角試合となっていますね。
また、4曲目のように、梅津に好きに吹かせたまま、
カルヴィンはクールにステデイなパターンで、リズムを叩く曲もあり、
二人が対決モードで丁々発止を繰り広げるばかりでもないところもいいな。
二人の協調ぶりも聴きどころな、オーネット門下生二人によるフリー・ファンクです。
梅津和時×Grant Calvin Weston 「FACE OFF」 ZOTT ZOTT101 (2016)