去年CD化されて快哉をあげたファタイ・オロウォンヨのレコード会社オゴ・オルワキタンから、
アインラ・アデゲイターズというもう一人別のアパラ・シンガーが、2タイトルCD化されていました。
この人の名前はナイジェリアの文献の中にあったので知っていましたけれど、
レコードを持っていなかったので、聴くのは今回のCDが初めてです。
そのうちの1枚、“KADARA L’OWO” は全編ゆったりとしたテンポで、
ハルナ・イショラのアパラを思わせます。
リード・トーキング・ドラムは良く歌っているものの、アンサンブルは少人数で、アレンジが単調。
テンポが遅いせいもあって、ややかったるく、通して聴くと退屈な感は否めません。
二流のシンガーだな、こりゃと、期待せずにもう一枚の“YOKO YOKO” を聴いてびっくり。
まるで別人。ぐっとテンポをあげて、怒涛の勢いで疾走するアパラが全面展開!
こちらにはトラップドラムも入っていて、パーカッション・アンサンブの厚みが増しています。
なんだよ、どっちがこの人の本領なんだよと、戸惑ってしまうほど違います。
アインラ・アデゲイターズは少し枯れた声で、
こなれた歌い口とコブシ回しは、聴く者をぐいぐい引き付ける魅力があります。
ハルナ・イショラともアインラ・オモウラとも違う、ちょっとリガリ・ムカイバにも似た魅力がありますね。
声がばらばらのお囃子がまたいいんだなあ。この不揃いの粗っぽさに味があるんです。
後半、勢いを増してヒートアップしていくところなど、息つかせぬ迫力。
いやあ、すごいなあ、これぞアパラの魅力ですよ。
ナイジェリア盤CDゆえの音質の悪さに辟易しますが、このビート感は80年代録音と想像します。
どういう人なのかとネット検索してみたんですが、この人のバイオを見つけることができませんでした。
そう古い人ではないはずなんですが、ジャケットのボケボケの写真はどーゆーことでしょうか。
こんな写真しかないのかよと、アキれてものも言えません。
まるで戦前ブルース・マンのボー・ウェイビル・ジャクソンやヘンリー・トーマスみたいな、
あってないがごときの写真。まったく顔の表情は読み取ることができません。
謎のアパラ・シンガーですね。
Ayinla Adegators & His Apala Reformance’s "YOKO YOKO" Ogo Oluwakitan no number