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再創造されたイングランドの伝統音楽 レディ・マイズリー

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Lady Maisery  CYCLE.jpg

チャイルド・バラッドのタイトルからグループ名を取った、
イングランドの伝統音楽を掘り下げる女性トリオ。
前作“MAYDAY” から3年ぶりの新作がリリースされました。

レイガンズ・シスターズに始まり、
リチャード・ファリーニャ、トッド・ラングレンという冒頭の3曲に、むむむ。
選曲がまぁシブいというか、マニア度高っ。

古書や歴史的な音源などから古謡を発見してくる研究熱心さは、
このグループのデビュー時からの個性ですけれど、
アメリカの60年代フォークに目配りするほか、
鬼才トッドの多重録音ア・カペラを取り上げるとは感服。降参です。
なるほど、彼女たちの音楽的なアイディアの豊かさは、トッドに通じるのかもなあ。

イングランドの伝統音楽を、いかに表現するかという課題は、
アイルランドやスコットランドのような定型を持たないイングランドでは、
ことのほか重大な意味を持ってきましたよね。
50年代のフォーク・リヴァイヴァルの時代からずっと続いてきたその課題は、
イングランドの音楽家たちに高い音楽性を常に要求し、
新たに伝統を再創造する音楽的挑戦が求められてきました。

その道のりを知るからこそ、このレディ・マイズリーの新作には、
ここまでやってきたのかという、深い感慨を持たずにはおれません。
ハープ、コンサーティーナ、フィドル、バンジョー、
バンシタール(!)、ピアノ、カンテレなどなど、
さまざまな楽器を自在に駆使しながら、囚われない自由な発想で
サウンドを組み立てながら、生み出される音楽は、
イングランドの伝統を強固に感じさせるところが、スゴイ。

3人の屈託のないオキャンな歌いぶりは、実にハツラツとしていて、
カビ臭い伝統の世界とは無縁の、過去と未来を繋ぐ音楽を奏でています。

Lady Maisery "CYCLE" RootBeat RBRCD33 (2016)

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