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パン・ウェスト・アフリカン・グルーヴ ブールンバル

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Boolumbal FUUTA BLUES.jpg

6年前に出ていたブールンバルというグループのデビューCD、
ぜんぜん気付かなくて今頃聴いたんですが、なかなか面白い音楽性を持っています。
モーリタニア人歌手でギタリストのマリック・ジャと、フランス人ギタリストで
プロデューサーのニコラス・リーバウトがパリで結成したグループなんですが、
ひとことでいえば、マンデ・ポップを核としたパン・ウェスト・アフリカン・ポップ。
マンデ・ポップやンバラにヨーロッパの要素がほどよくブレンドされ、
その妙味にこのグループならではの個性があります。

マリックの出身がモーリタニアといっても、ムーア音楽の要素は皆無です。
ニコラス作の1曲を除いて全曲マリックの作で、
モーリタニアの詩人アブドゥル・アジズ・バが書いたプール語の歌詞を歌っているので、
ライナーには書かれていませんが、マリックもプール人なのかもしれません。

マリックはモーリタニア南部セネガル川沿いの都市カエディの出身。
対岸はセネガルという国境沿いのこの都市は、セネガルとの往来が盛んで、
マリックも95年にセネガルでカセットをリリースしたのち、ママドゥ・コンテと西アフリカをツアーし、
02年にモーリタニアを離れパリへ移住したのだそうです。

パリでアフリカ音楽に傾倒していたニコラス・リーバウトと出会い、
マリックの広いレパートリーと向き合いながら、
じっくりと4年間をかけて完成させたのがこのデビュー作だと、ライナーには書かれています。
なるほどそれだけの時間をかけただけのことはある、練れたアレンジと演奏が聞きもので、
アフリカ人ミュージシャンが生み出すグルーヴに、白人ミュージシャンのプレイがよく溶け込んで、
理想的なコラボレーションを聞かせます。

グループ・メンバーを眺めると、アフリカ人メンバーは、ウセイマン・ジョウフ(ジェンベ、サバール)、
バオ・シソコ(コラ)、フォデ・サッコ(ンゴニ)、ムサ・ジャバテ(バラフォン)など、
セネガルやマリのグリオ出身者とおぼしき名前が並んでいるのに気付きます。

さらにゲストとして、マリからはンゴニの若手のホープ、マカン・トゥンカラ、
ギネアからはママディ・ケイタのグループに在籍するモハメド・シソコ(バラフォン)に、
セクーバ・バンビーノ・ジャバテのグループのババ・ガレ・カンテ(プールの笛)、
セネガルからは、ファルー・ジェンやシェイク・ローなどのバックを務めるママネ・チャム(タマ)に、
バーバ・マールのバック・コーラスのアワ・カナラという、マンデ・オール・スターズが勢揃い。

一方、白人ミュージシャンのほうは、ベース、ギター、ドラムス、ゲンブリ、パーカッションの
ニコラスが控えめなプレイに徹しているのに対し、
アコーディオン、シンセ、ヴァイオリンのメンバーがソロ・プレイで聴きどころを作っています。
マリックのギターとヴァイオリンだけで女性コーラスと歌った“Neene-am” もいい仕上がりなら、
アクースティック・スウィングに仕上げた“Continent Noir” は、
ミュゼットふうのアコーディオンが絶妙。
シャッフルの“Nguru Gool” なんて、途中に出てくるエレピ・ソロが、
フェラ・クティかマイルズ・デイヴィスかという感じで、ワクワクもの。

マンデ・ポップにンバラやイェラをミックスしたパン・ウェスト・アフリカン・サウンドに、
ソロ・パートでジャズやブルースのセンスを取り入れたブールンバルのデビュー作、
アフリカらしさを損わず、過剰な化粧もせずにモダンに聞かせるその手腕は、
90年代のパリのワールド・ミュージック・ブームの時代と比べて、
アフリカ側・ヨーロッパ側双方とも相互理解が進んだのを実感します。

Boolumbal "FUUTA BLUES" Playa Sound PS66413 (2009)

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