いい顔してますねえ。
アマゾンの川っぺりで、愛機のギターを片手ににっこり。
この人もメストリ・ヴィエイラと肩を並べる
ギタラーダのヴェテラン、メストリ・ソラーノです。
17作目にあたるという本作は、『アマゾンのサウンド』というそのものずばりなタイトル。
41年生まれというので、34年生まれのメストリ・ヴィエイラよりは若いとはいえ、
アルバム・リリース時すでに72歳のお爺ちゃんであります。
メストリ・ヴィエイラほど唯我独尊な演奏ぶりでなく、
カリンボーとクンビアが混じり合った哀愁味のある、
ほっこりしたサウンドには色気もあって、
ローカルなポップさが、いい湯加減であります。
アルバム冒頭、女性のMCによって演奏がスタートするという、
コンサート開幕の演出もあって、なかなか楽しいアルバムに仕上がっています。
アルド・セナもギタラーダを代表するギタリストの一人。
LP時代にもたくさんのアルバムをリリースしていますけれど、
ナ・ムジックから10年に出したアルバムでは、
メストリ(名人)でなく、レイ(王)を名乗っています。
まさしく「歌のないランバダ」といった感じのよく歌うギターで、
小技を利かせたプレイは、よくよく聴けば、かなりの業師であることがわかります。
そして3人目は、現代のギタラーダ・シーンでサウンドの要役として活躍している
ギタリストのマノエル・コルデイロの初アルバム。
先のメストリ・ソラーノのアルバムでも共同プロデューサーとして名を連ね、
ギターだけでなくウチコミも担当。
サウンド・カラーを作っているのがマノエルなんですね。
これまでプロデューサー、アレンジャーとして60年近い活動歴があるものの、
自身の名を冠したアルバム制作は本作が初で、遅すぎるデビュー作となったのでした。
息子のフェリーペ・コルデイロもエレクトロニカで参加するなど、
メストリ二人のギタラーダのアルバムとは趣が違い、
よりブレーガ寄りのサウンドはヴァラエティ豊かで、カリブ風の味付けも多数。
4曲目のリズムなんて、もろにハイチのコンパだもんね。
マノエルのアルバムでは、生ドラムスと打ち込みが半々となっていて、
プロダクションはローカル性を越えて、
イマドキのポップスとして通用する内容となっています。
音楽性も往年のランバダと共通する、カリブ音楽への嗜好がくっきりと表われていますね。
大衆的な歌謡性に溢れるサウンドとなっていても、プロダクションに安直さはないので、
かつてのランバダのような通俗に堕してはいません。
気楽で親しみやすい地方音楽の演奏アルバム、ギタラーダの3作です。
Mestre Solano "O SOM DA AMAZÓNIA" Natura no number (2013)
Aldo Sena "O REI DA GUITARRADA" Na Music NAFG0048 (2010)
Manoel Cordeiro & Sonora Amazônia "MANOEL CORDEIRO & SONORA AMAZÔNIA" Na Music NAFG0094 (2015)