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アメリカのバブル時代のトーチ・シンガー リー・モース

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Lee Morse  ECHOES OF A SONGBIRD.jpg

リー・モースだなんて、いまどきその名前が話題にのぼることじたいめったにない、
狂騒のアメリカ20年代に人気を博したトーチ・シンガーですけれど、
最近立て続けにその名を目にすることがあって、
これは、なんか呼ばれているとしか思えませんね。

そんなわけで、久しぶりに棚からリー・モースの復刻CDを取り出して、
またその歌声を堪能したりしてたんですが、
最初のきっかけは、相互リンクさせていただいているオギテツさんのブログでした。
2月にアップされた記事に、リー・モースのユーモラスな歌詞が紹介されていて、
嬉しくなって、思わずコメントを付けてしまったんですよね。

そして2度目が、エル・スールの新入荷に載った、
アシェラト・レコーズから出たリー・モースの復刻LP。
このレーベル、最近ちょくちょく目にするようになりましたけれど、
リー・モースも出していたんですね。レコード番号が1盤ということは、
このレーベルの第1弾だったのか。知らなかったなあ。

アシェラト・レコーズは、パームワインのクマシ・トリオの28年録音、
ナイジェリアのドミンゴ・ジュスタスの28年録音、
カリプソのローリング・ライオンの30年代録音、
20~30年代ハワイ音楽のコンピレを、LPのみで復刻しているレーベル。

CDがすでに廃盤だからとはいえ、曲数も少なく、初復刻があるでなし、
わざわざLPのみで復刻するという意義が、どうにも図りかねるんですよね。
リー・モースのLPに収録された12曲も、
手元にあるジャスミン盤CD(全50曲収録)にすべて収録。
リー・モースは、昔からずいぶんLP化・CD化されてきた人なので、
今わざわざこれをLPで出す意味がわからん。

最近、こういうLPしか出さないコレクター・レーベルがずいぶん増えてますよねえ。
当方フツーのCD愛好者で、アナログを愛するような通人ではないため、
初復刻や未CD化音源をLPオンリーで復刻する、プラネット・イルンガや
サヘル・サウンズみたいなレーベルは、ほんとヤな感じがしてるんですけど、
既発音源ばかりのミシシッピやこのアシェラトは、安心して(?)スルーできます。

ところで、肝心のリー・モースについてなんですが、
大衆消費社会の時代が到来したアメリカの狂騒の時代の20年代前半に、
ミュージカル女優として人気を博した人であります。
ヘレン・モーガンやルース・エッティングと並ぶ、
アメリカ・バブルの時代に栄華を誇ったトーチ・シンガーのひとりです。
トーチ・シンガーというと、甘ったるいカマトト声で歌う歌手というイメージがあり、
じっさいその通りでもあるんですけれど、
リー・モースの声は低く、ブルージーな味わいもあって、ぼく好みなんでありました。

リーのユニークなのは、この時代でオリジナル曲を歌う
シンガー・ソングライターだったことです。
しかも彼女のバックを務めたのは、ベニー・グッドマン、レッド・ニコルス、
トミー&ジミー・ドーシー兄弟、エディ・ラングといった名手揃いで、
それがいまなお復刻され、聴き継がれている理由でもありますね。

ジャネット・クラインを聴いて、ビリー・ホリデイ登場前のジャズ・シンガーに
興味を覚えた人や、ジャズ・ソング歌手の川畑文子や周璇なんかも聴く人なら、
ど真ん中の人だと思いますけれど、そういう人なら、とっくに聴いてるか。
まあ、今となっては、好事家向けの、知る人ぞ知る存在になっちゃったのかな。
だから、今その名を聞けば、
「お! リー・モース。お好きなんですか? いいですよねぇ。」
などと、やにさがっちゃうわけです。

Lee Morse "ECHOES OF A SONGBIRD" Jasmine JASCD646

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