胸の奥に、ぽっとロウソクの炎が灯るような、そんな感じ。
アイリス・ケネディの声を聴くと、必ず蘇るその感覚。
ほんのりとした人肌のぬくもりが伝わるアイリスの声が、好きです。
さりげなく、さりげなく歌うその抑制の利いた歌唱は、
身体の芯にじんわりと染みこんでいくのを感じます。
アイリッシュ・フォーク・シンガー、アイリス・ケネディの3作目。
2作目から12年ぶりとは、またずいぶん間が空いたもんですねえ。
その間に、ポーリン・スキャンロンとのデュオ、
ルミエールのアルバムが2作出たもんなあ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2009-11-19
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-04-12
実はつい最近、アイリスの01年デビュー作を棚から取り出して、
聴き直していたところだったんです。
というのは、無印良品で出しているCDシリーズ『BGM』のラインナップの中に、
このデビュー作が選ばれていることを知り、嬉しくなっちゃったんですよ。
それでしばらく聴いていなかったのを思い出し、取り出したというわけ。
あらためて聴いても、このデビュー作、名作だとしみじみ思いましたね。
70年代のイギリスのフォーク・リヴァイヴァルを通過したコンテンポラリー・サウンドで、
チェロ、クラリネットといった楽器を効果的に使ったサウンドの組み立て方が鮮やか。
繊細なプロダクションがアイリスの温かな声を包み込み、
哀感のあるメロディを引き立てています。
自主制作で出された本作は、無印良品シリーズ以前にも日本盤でリリースされていて、
アイリスは日本人好みのシンガーといえるのかもしれません。
本国でも評判になったのか、ジャケットを変えて再発されていますけれど、
この写真のヴァージョンがオリジナル。
05年の2作目もデビュー作に劣らぬ、胸に沁みるアルバムでした。
デビュー作から今回の3作目まで一貫して自主制作と、
頑固なまでにみずからの音楽を大切にしているのがうかがわれます。
Éilís Kennedy "WESTWARD" Éilís Kennedy no number (2016)
Éilís Kennedy "TIME TO SAIL" Éilís Kennedy no number (2001)
Éilís Kennedy "ONE SWEET KISS" Éilís Kennedy no number (2005)