ロバート・バーンズの歌ほど知られている、スコットランドの詩人はいないでしょうね。
たとえその名前を知らなくても、
「蛍の光」や「故郷の空」を聞いたことない人はいないでしょう。
その「故郷の空」“Comin' Through The Rye” で始まり、
「蛍の光」“Auid Lng Syne” で締めくくられるロビン・ステイプルトンの2作目は、
ロバート・バーンズ曲集となっています。
「故郷の空」を聴くと、どうしてもザ・ドリフターズの「誰かさんと誰かさん」を
思い出してしまう世代なんですが、
なかにし礼がコミック・ソングに仕立てたあのHな歌詞は、
じっさいバーンズが書いた元歌に近い雰囲気がありました。
そもそもこの曲を、明治時代に教育的な唱歌にしたのが
間違いというか無理筋だったわけで、
いまでも英語圏では、この曲は春歌として扱われていると聞きます。
その“Comin' Through The Rye” も“Auid Lng Syne” も、
ロビンが歌うと、スコットランドらしい清廉な空気感が溢れ出しますね。
ロビンの節回しには、独特の格調の高さがあります。
持って生まれた気品というべきか、ちょっと人を寄せ付けないところもあって、
親しみのあるタイプとはいえないかもしれません。
いつも真面目で、真摯な態度がカタブツと敬遠されてしまう損な性格。
そんなイメージのある歌手ですけれど、ぼくは好きなんだな、こういうタイプ。
ロック的な感性とは真逆のタイプですね。
前作15年のデビュー作でも、きりっとしたシンギングを聞かせていて、
ピアノのみの伴奏や無伴奏歌など、裸に近い歌いぶりに、
この人の真面目さが美しく昇華しているようで、とても気に入っていたんですが、
2作目でもそんなロビンの伝統歌に対する意識の高さがうかがえる秀作に仕上がっています。
Robyn Stapleton "SONGS OF ROBERT BURNS" Laverock LAVE002CD (2017)
Robyn Stapleton "FICKLE FORTUNE" Laverock LAVE001CD (2015)