アミルトン・ジ・オランダ・キンテートの良きライヴァルとなりそうな、
サラコチーアというレシーフェのグループを知りました。
バンドリン、7弦ギター、ドラムスの3人組で、3人とも83年生まれの同い年。
ベースレスという変則トリオで、アミルトン・ジ・オランダ・キンテートとは
編成が異なりますけれど、ショーロ、バイオーン、フォローをベースとしながら、
コンテンポラリー・ジャズの素養を身につけた音楽性を発揮しています。
08年に結成したグループで、15年にリリースした本作は2作目とのこと。
アクースティック編成の3人組ながら、カラフルなサウンドに仕上げているキー・マンは、
7弦ギターのロドリゴ・サミコ。
エフェクトを使ってエレクトロな音響を効果的に加えています。
ラファエル・マルキスのバンドリン・プレイと曲作りは、完全にショーロ・マナー。
それをコンテンポラリー・ジャズのセンスでリズム・アレンジするところが、
アミルトン・ジ・オランダ・キンテートと見事に重なります。
アミルトン・ジ・オランダ・キンテートとの違いといえば、
やはりレシーフェの出身らしく、ショーロばかりでなく、
フレーヴォやフォローの要素がふんだんに取り入れられ、
ノルデスチの香りをたっぷりとさせているところでしょう。
ロマンティックなヴァルサなど、より歌ゴコロに溢れたトラックが多く、
アミルトン・ジ・オランダ・キンテートのような、
急速調でリフやブレイクでキメまくったアレンジは控えめとなっています。
ゲストにアコーディオンやピアノを迎えた曲や、
虫の音などの自然音や列車の通過音、女性のヴォイスをコラージュした
アルバム・プロデュースもよくできていて、
若い才能が発揮されたインスト傑作といえます。
Saracotia "A VISTA DO PONTO" no label no number (2015)