このサンパウロ出身のトリオもいいなあ。
パーカッション、ギター、ハーモニカ(ガイタ)という、
レシーフェのサラコチーアとはまた違った編成の変則トリオ。
トレイス・ノ・ソンのデビュー作です。
クラリネットを加えた2曲目の“A Primeira Dama” のような、
優雅なショーロ曲もやっていますけれど、彼らはショーロのトリオではなく、
インストルメンタル・ミュージックですね。
メンバーが歌う曲も少しあるんですけれども。
ハーモニカがクロマチックだけでなく、
曲によってダイアトニックやバスも使い分けているところがミソですね。
一部の曲で聞かれる、わざと音程をずらした演奏も面白いですね。
ファニーな感じのメロディにぴったりなんですけど、これ、どうやって吹いているんだろう。
サンバ、マラカトゥ、バイオーン、フレーヴォのリズムをベースとした、
ブラジルならではのインストルメンタル音楽ながら、
エレクトリック・ギターがソロを弾きながらユニゾンでスキャットをするなど、
ジャズの素養をしっかりと身につけていることが、聴き取れます。
ギタリストはマヌーシュ・スタイルのギターも聞かせたりと、
豊かな音楽性をうかがわせます。
曲はメンバーのオリジナルですけれど、1曲のみギンガの曲をやっていて、
ギンガ自身もゲストに加わっています。
不思議な浮遊感たゆたう、いかにもギンガらしい官能的な曲で、
このグループの音楽性によく馴染みます。
ラストは大勢の子供たちのコーラスをフィーチャーした楽しい曲で、
歌ものインスト音楽の秀作です。
3 No Som "3 NO SOM" no label no number (2017)