号泣。
48年ぶりの新作だよ? 信じらんない気分。店頭でCDを持った手が震えました。
去年来日した時も、ほんとに?と思ったもんですけど、
ウィリアム・ベルに続いて、ドン・ブライアント、そして先日のスペンサー・ウィギンスと、
サザン・ソウルのレジェンドたちが立て続けに来日して、もう完全復活じゃないですか。
R&Bじゃねえよ、ソウルだよ、おっかさん!
そしてこの新作。
オープニングが“A Nickel and a Nail” ですよ。泣くしかないじゃないですか、もう。
ちょうど1年前のビルボードライブ東京のステージでもこれを歌ってくれて、
身体の芯がシビれたっけねえ。そん時の記憶が湧き上がってきましたよ。
アレンジはO・V・ライトのヴァージョンをほぼ踏襲。
O・Vの若き狂おしさとは違った、74歳という年齢の深みが胸に迫ります。
O・Vが Lord, Have mercy! と自嘲するようにシャウトすれば、
ドンはOh lord... と救いを求めるように唸ります。
粘っこく歌うドンの泥臭い歌いぶりは、これぞサザン・ソウルでしょう。
ハワード・グライムズの重厚なドラミング、チャールズ・ホッジのオルガン、
ヴィンテージ・ソウルを刻印するホーンズやストリングスも揃い、
往年のハイ・サウンドを支えてきた名手たちが繰り出すサウンドに、
ハンカチはもう2枚目です。
“How Do I Get There” では激しいシャウトを聞かせるかと思えば、
“It Was Jealousy” では、アル・グリーンばりの甘やかな歌いぶりを聞かせる。
年輪を重ね、さらりと歌う節回しひとつに、老練な味わいを醸し出すドンの歌いぶりに、
衰えはまったく感じられません。
2017年ベスト・ソウル・アルバム確定!と言いたいところですけど。
こうなると、スペンサー・ウィギンスの新作だって、ありそうじゃないですか。
その可能性も捨てきれないので、それまでベスト・ソウル・アルバムは保留としましょう。
Don Bryant "DON’T GIVE UP ON LOVE" Fat Possum FP1607-2 (2017)