70年代ロックのライヴ録音が続々とCD化される傾向は、ここ数年ずっと続いていますけれど、
とうとうブルースにまで、その波が押し寄せているようですね。
アルバート・コリンズやジョニー・シャインズあたりなら、平然と無視もできますが、
アルバート・キングやオーティス・ラッシュとなると、心中穏やかではおれません。
試聴機でヘッドフォンを装着してみれば、陥落は必至なのでした。
でもねえ、大手の輸入CDショップが、
西新宿あたりのブート屋みたいなことになっているのは、いかがなものなんでしょうか。
1000円盤と廉価ボックスとブートレグが売り場でデカイ顔をしてるのって、
いよいよフィジカル滅亡の日も間近かという予感を、十二分に漂わせます。
CDメーカーの断末魔を見るようなこの状況、暗澹たる気分にもなってきますねえ。
そんなフィジカル派には、お先真っ暗な今日この頃でありますが、
話を戻して、アルバート・キングの72年ライヴ、美味しゅうございました。
アルバートの絶頂期のライヴは、バックはドナルド・キンゼイのギターに、
ホーン・セクションも加えた編成でばっちり、音質も上々であります。
アルバートにしては珍しくギターが歪んでいて、個人的には好みであります。
実は、ワタクシ、それほどアルバート・キングのファンではないんですよ。
歌もギターもなめらかすぎ、整いすぎて、
もう少しアクというか、エグ味が欲しくなってしまうんですよねえ。
艶やかなチョーキングが、ロック・ファンにアピールしたんでしょうけれど、
う~ん、上手すぎるというか、カッコよすぎるというか。
B・B・キングも同じで、ぼくには気持ちが入り込みにくいブルース・マンなのであります。
というわけで、何十年ぶりに聴くアルバートなんですが、
男の色気たっぷりの力のこもったヴォーカルに、強力な指使いの太いギターは、
やっぱり有無を言わせず、聞かせるものがあります。
分かりやすくて、何が悪い。素直にカッコいいと、認めましょう。
Albert King "LIVE AT THE FABULOUS FORUM 1972" Rockbeat ROCCD3324