ダニー・Lとドン・キカスを聴いて、キゾンバの再始動を実感したわけですが、
キゾンバ新世代の痛快な新人の登場に、うひゃー、と思わず声をあげちゃいました。
それが87年ルアンダ生まれのプート・ポルトゲースこと、リノ・セルケイラ・フィアリョ。
10年のデビュー作から飛び出すハツラツとしたヴォーカルに、目の覚める思いがしました。
ゲストの女性シンガーとの掛け合いもクールにきめ、
スタイリッシュな気取りも、若者らしくっていいじゃないですか。
そしてまたこのデビュー作、サウンド・プロダクションがゴージャス。
分厚いホーン・セクションを贅沢にフィーチャーして、キレのあるソリを炸裂させるほか、
ヌケのいいサウンドに、アコーディオンが疾風のように駆け抜け、
ギター・ソロも短いながら、要所要所で聴かせどころを作っています。
ルンバ・コンゴレーズのセベン・パートを取り入れるなど
パーカッシヴなビートを強調したサウンドが、痛快至極ですよ。
聴き終えてみると、ズークらしいサウンドは、ラスト・トラックしかありません。
これならキゾンバというより、なるほどタイトルどおりセンバ色が強く、
<センバ新世代>を標榜するのも、ダテじゃないですねえ。
先日のダニー・Lやドン・キカスも、「センバ」の付く曲があったように、
キゾンバ新世代は、センバ回帰がトレンドになっているようですね。
なんとこのプート・ポルトゲースくん、ソロ・デビュー以前は、
ナコベータという相棒と、クドゥロのアルバムを2枚も出していたんですよ。
しかも10年の2作目は、“KUDURO IS LIFE” なんてタイトルだったんだから、笑っちゃいます。
舌の根も乾かぬうちに、『センバ新世代』を名乗ってソロ・デビューとは、
変わり身早すぎっ!つーか、いい根性してますねえ。
でも、出来栄えサイコーなんだから、文句はありません。結果がすべてであります。
さらに2作目は、アコーディオンと弦・管セクションをフィーチャーしたマラヴォワふうビギンあり、
サルサ・タッチのピアノをフィーチャーしたコンパあり、
重厚なチェロの響きも加わった流麗なストリングスに、
ジャジーなギター・ソロをフィーチャーした、アダルト・テイストなボレーロありと、
ミジコペイさながらのフレンチ・カリブのサウンドも取り入れ、
さらにバラエティ豊かな仕上がりとなっています。
いやあ、アンゴラ、すごいことになっちゃってますよ。
Puto Português "GERAÇÃO DO SEMBA" MR Produções no number (2010)
Puto Português "RITMO E MELODIA" PP Music/LS Republicano no number (2013)