わ~お♪
こういうフォーマットで聴きたかったんですよ。
3管入りのセクステットとなったヴィジェイ・アイヤーの新作。
ずっとピアノ・トリオの作品が続いていて、
リズムの鬼ヴィジェイの凄みは、そこでも十分発揮されていたとはいえ、
もっと大きな編成で聴いてみたいと思っていたもんだから、願ったりかなったり。
どういうメンバーを集めたのかとクレジットをみれば、
トランペットにグレアム・ヘインズ、アルト・サックスにスティーヴ・リーマン、
ドラムスにタイショーン・ソーリーを起用しているじゃないですか。
こりゃあ、すごい。俊英を揃えましたねえ。
M-Base の影響大なヴィジェイにとって、グレアム・ヘインズはうってつけだし、
ぶっといトーンでぶりぶり吹きまくる期待の若手、
スティーヴ・リーマンを起用したのも嬉しいですねえ。
そして、マーカス・ギルモアから交替したドラマーが、
そのリーマンと一緒にプレイしているタイショーン・ソーリーなんだから、
こりゃあ期待が高まるってもんです。
半年前に“MISE EN ABÎME” を愛聴していたばかりなので、嬉しさ倍増。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-02-12
レーベルがECMなので、
ヴォリュームをいつもの13から20へと上げて、プレイ・ボタンを押したんだけど、
オープニングのピアノの音量がちっちゃすぎて、聞こえやしない。
まったく、どんだけ音圧低いんだよ、ECM。
ひとりごちながら、さらにヴォリュームを26まで上げると、
3管のユニゾンから一気に爆発。どひゃーあ、来た、来たぁ~!
数学的なリズム使いは、ヴィジェイのリズム探究の賜物ですけれど、
反復/垂直的なM-Base を、加算的に変化させていくヴィジェイのリズム使いには、
やっぱりこの人、インド人だよなと思わずにはおれません。
時間軸に水平移動してリズムを動かしていくところなんて、
インド古典音楽のリズム・サイクルであるターラと同じ発想だもんねえ。
それが、ジャズのアフリカ起源的な垂直方向に動かすリズムとレイヤーして、
新しいポリリズムとグルーヴのあり方を提示しているかのようで、ドキドキしてきます。
ピアノ・トリオだと、
数理的なリズム・オリエンテッドな演奏が前面に押し出されますけれど、
今回は3管、ピアノ、ドラムスそれぞれのソロが大暴れして、
マッシヴなジャズの快楽を味わえる、ヴィジェイの最高傑作です。
Vijay Iyer Sextet "FAR FROM OVER" EMI ECM2581 (2017)