うひゃー、このリズムのキレ!
ボーっとしてた頭が、一瞬にしてシャキッと目が覚めました。
のっけからシャープなバンドリンに驚かされたのは、
エポカ・ジ・オウロのバンドリン奏者ロナルド・ド・バンドリンの息子
チアーゴ・ソウザのデビュー作です。
ジャケットに写る主役のルックスは優等生ぽく、ファッションもイケてないというか、
なんかいまひとつだなあと思いながら聴き始めたせいか、
出音イッパツで、椅子から転げそうになっちゃいました。
オープニング曲がチアーゴ自作のオリジナルなんですけど、
一瞬変拍子の曲かと思わせるような、複雑なリズムのシカケがある曲で、
おおっと前のめりになっちゃいました。
でも、いわゆるアミルトン・ジ・オランダのような
プログレッシヴなインスト・ナンバーではなく、まぎれもなくショーロなんですよね。
テクニカルな作曲能力と、ショーロ本来の味がちゃんと同居しているところが憎いなあ。
オリジナルは冒頭曲のみで、ほかはナザレーのような古典曲に、
マウリシオ・カリーリョ、ルシアーノ・ラベーロ、ペドロ・アモリン、
ゼー・パウロ・ベケールなどのショーロ・ナンバーを取り上げています。
どんなレパートリーでも、リズムが立っていて、
バンドリンの粒立ちの良い響きが鮮やか。
アルバム全編から、若々しさが溢れ出ていて、まばゆいほど。
曲ごとに編成も多彩で、ドラムスが入る曲もあれば、
トランペット、トロンボーン、バス・クラリネットなどの管楽器が加わる曲、
チェロ、アコーディオン、ヴァイオリンをフィーチャーした曲など、さまざま。
参加メンバーも豪華で、総勢40人近い名前がクレジットされています。
ヤマンドゥ・コスタ、ニコラス・クラシッキ、アレサンドロ・クラメルに、
お父さんのロナルドもいますよ。
ソンふうのトランペットを配した「ショーロ・クバーノ」なんておちゃめなナンバーや、
バイオーンとマラカトゥをミックスしたようなノルデスチ満開な曲もあり、
とにかく楽しめること間違いなし。
若手だからこそのフレッシュなショーロ・アルバムです。
Tiago Souza "DE SOSLAIO" Discmídia no number (2017)