こりゃあ、面白い。この人、どういう人なの?
キューバのエンタテイナー歌手なんですか、へぇ、初めて知りました。
ブラジルのカウビ・ペイショートに続いて、
老練なヴェテラン歌謡歌手のアルバムを聞くというのも、なんだか奇遇ですねえ。
外交官の家に生まれたボビー・カルカセースは、38年キングストン生まれ。
一家はボビーが4歳の時にキューバに戻り、
56年にボビー・コジャーソのヴォーカル・カルテットでプロ・デビューしたシンガー。
アフロ・キューバンにジャズをミックスした、ジャイヴィーな味のあるジャズ・シンガーで、
マルチ奏者でもある多芸なお人なんですね。
チューチョ・バルデース、エミリアーノ・サルバドールと共に、
60年代以降のキューバン・ジャズのスタイルを決定づけた功労者なんだそうです。
御年78歳になるわけですけれど、ジャケットを見ると、そんなお歳には見えませんね。
キューバ新世代として活躍中の息子ロベルト・カルカセースがプロデュースした本作は、
オリベル・バルデース(ドラムス)、ホルヘ・レジェス(ベース)、
フリート・パドロン(トランペット)、マラカ(フルート)といった、
現代キューバを代表するトップ・プレイヤーたちが勢揃いしています。
ベニー・モレーをモチーフにした1曲目のボビーのオリジナル曲から、
エリントンの「キャラバン」にボビーが詞を付けた“Caravana”、
「テンダリー」「ナイト・イン・チュニジア」といったジャズ・チューンのほか、
ティト・プエンテとデイブ・バレンティン他がアレンジした、
ペドロ・フローレスの“Obsesión” まで取り上げています。
ソフトで軽快にスウィングする歌い口で、スキャットも鮮やかに決め、
いや~、粋じゃないですか。
フロアでレディと踊りたくなりますよ。
ラストはボーナス・トラック扱いの“Son De La Loma”。
かの古典ソンのスタンダード・ナンバーを、
全編ア・カペラのスキャットで歌うとは、降参です。
Bobby Carcassés Y Afrojazz "BLUES CON MONTUNO" Bis Music CD1141 (2017)