ここのところサンバ・ソウルの良作に恵まれていますけれど、
今度のは「ソウル」ではなく、「ロック」。
サンバとロックをクロスオーヴァーした痛快作です。
『サンバの100年』と銘打ち、
初のサンバとされる1917年ドンガ作の「ペロ・テレフォーニ」に始まり、
ノエール・ローザの“Com Que Ropa?”、
エリゼッチ・カルドーゾの名唱で知られる“Barracão”、
ジョルジ・ベンの“Mas Que Nada”、カルナヴァル・ナンバーの大定番“Tristeza”、
ゼー・ケチの“A Voz Do Morro、カルトーラの“O Sol Nascerá” など、
サンバ・ファンなら知らぬ曲のない、一緒に歌える曲ばっかりのレパートリーを
ロック調のリフを加えたアレンジで聞かせます。
サンダミは、75年サンパウロのバウル生まれ。
わずか2歳の時から両親にくっついて、エスコーラでパレードをしていたというから、
生粋のサンバ育ちですね。
98年にデビュー、すでに20年のキャリアを持つ人で、
本作もそんなキャリアがにじみ出たアルバムといえます。
子供の頃からサンバが身体に染みついた、
オルタナ・ロック/ヒップホップ世代によるサンバで、
アレンジにロックの意匠をまとってはいても、その歌は、ゴリゴリの伝統サンバそのもの。
だから、このアルバムを「サンバ・ロック」とは呼びたくはありません。
伝統サンバを歌いながらも、自然にロック感覚がにじみ出るという自然体ぶりが好ましくて、
その「狙ってない」感が、いいんですよ。
いわゆる作りモノ感がない仕上がりが、とても気持ちよく聞けるアルバムです。
Sandamí "100 ANOS DE SAMBA" Radar RS4009 (2017)