おぅ! サー・チャールズ・ジョーンズの新作。
待ってましたっ、と飛びつこうにも、配信ばかりで、
CDがどこにも売っていないじゃないですか。
うわ~ん、と地団駄踏んでたら、
ダラスのちっちゃなオンライン・ショップで扱っているのを発見。
ようやっと入手できました。
インディ・ソウルも、だんだんフィジカルが入手困難になってきましたねえ。
14年の前作“PORTRAIT OF A BALLADEER” が胸に沁みる極上の出来でしたからねえ。
多事多難の苦しい日々を送っていた時に、サー・チャールズの苦み走った声に、
どれだけ助けられたことか。彼のヴォーカルにはブルースが滲んでいますよ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2014-10-02
あのアルバムは、ウィリー・クレイトン肝いりのレーベル、エンドゾーンからのリリースで、
ウィリー御大も共演するバックアップも得た豪華なものでしたけれど、
今回は自主制作。ジャケットがいかにもインディなチープさで、
まあ、それなりのプロダクションならいいかと、期待値を下げて聴いてみたら、
予想をはるかに上回る出来で、ひょっとして、前作以上?
すっかり舞い上がっちゃいまいた。
「このアルバムはマスターピースだ」というMCに促されてスタートする今作、
タイトルは伊達じゃありませんでした。
この人のビッグ・マウスには、またか、と苦笑もするんですけれど、
しっかりとした実力が備わっているんだから、大したもんです。
今回も全編ミディアム~スロー。
カルヴィン・リチャードスン、オマー・カニングハムをフィーチャーして
3人が順にリードをとった“Cal On Me” は、
時代の生きにくさに抗えず、つまずいてしまった者に、
黙って肩を貸すような男のメロウさがあって、胸に沁みます。
その一方、アクースティック・ギターとシンセをバックに、
ソウル・マナーな歌いぶりを封印して、
ストレイトにメロディを歌った“100 Years” の温かさにも泣けますねえ。
ポーキー・ベアをゲストに迎えたブギー・ファンクあり、
ステッパーあり、ネオ・ソウルあり、多彩な曲調にさまざまな歌いぶりで迫る、
サー・チャールズ・ジョーンズの魅力が全開した傑作です。
Sir Charles Jones "THE MASTERPIECE" Southern King Entertainment no number (2018)