とろっとろの甘さ。
この人もまたアンゴラの美メロ・マスターといえそうな、
マティアス・ダマジオであります。
美メロ曲で埋め尽くされた“POR AMOR”。大ヒットとなるのも当然ですね。
オリジナルは15年にリリースされましたが、ポルトガルの人気シンガー、
エベル・マルクスをフィーチャーした‘Loucos’ が16年にポルトガルで大ヒットし、
この曲をオープニングにすえ、曲順、ジャケットを変えて
16年に新装リリースされたのが本作です。
遅ればせながら、ようやく手に入って聴いたんですが、
いや~、女子はもちろんのこと、オヤジでもトロけますね。
ベイビーフェイス・クラスの美メロを書ける才人です。
ソングライターの才能ばかりでなく、ヴォーカルもまたいいんだ。
やるせない歌いぶりは、ラヴ・ソング歌いに必須の歌唱力といえ、
スウィートな歌声に加えて、ぐうっと歌い上げる男っぷりも鮮やかです。
なんでアンゴラって、こんなに歌える男が多いんだろうね。
82年ベンゲラに生まれたマティアス・ダマジオは、
11歳で内戦のためルアンダへ避難民として家族と共に移住し、
靴磨きや洗車などの仕事をするなど、苦しい生活を送ったようです。
少年時代はカッサヴのカセットを聞きながら、歌手となることを夢見ていたそうで、
テレビのコンテストをきっかけにプロ・デビューし、
05年にデビュー作をリリースしました。
ぼくがこの人を知ったのは、09年の2作目“AMOR E FESTA NA LIXEIRA”。
キゾンバをベースに、マラヴォワ風のストリングス・セクションや
アコーディオンをフィーチャーしたセンバなどもやっていて、即お気に入りとなりました。
3作目の“POR ANGOLA” を探したんですけれど、とうとう入手することができず、
ようやく4作目の改訂版を入手できたというわけです。
キゾンバをベースとしたコンテンポラリー・ポップスという路線は、
2作目の“AMOR E FESTA NA LIXEIRA” を踏襲しているものの、
プロダクションはグンと向上しています。
打ち込みに頼らない生演奏主体なのが、アンゴラのいいところです。
キゾンバといってもこの人の場合、センバをベースにしているというより、
ズークやコンパなどフレンチ・カリブ色が強いのが特徴。
「ラスタファーライ」や「ガンジャ」が連呼される曲のリズムが、
レゲエでなくコンパというのが、この人らしいところです。
センバの‘Beijo Rainha’ では、ダイナミックなホーン・セクションに
アコーディオンを絡ませ、聴きものとなっています。
今月末には新作“AUGUSTA” がリリースされる予定。なんとか入手しなきゃ。
Matias Damásio "POR AMOR" Arca Velha/Sony Music 88985362412 (2016)
Matias Damásio "AMOR E FESTA NA LIXEIRA" Vidisco 11.80.8927 (2009)