やっぱり好きだなあ、この人。
7年を経てようやく出たエィレム・アクタシュの2作目。
涼風のようなメリスマにうっとり。あらためてホレ直しちゃいましたよ。
ジャケットのチャーミングなお顔も見目麗しく、
LPサイズで飾っておきたくなりますね。
デビュー作では6人ものアレンジャーを起用し、生音アンサンブルにのせて、
しつこさのない爽やかな歌唱を聞かせていたエィレム。
古典歌謡をしっかりと習得した高い歌唱力を持ちながら、
それをけっしてひけらかさずく、さりげなく歌う淡い歌いぶりは、
新人らしからぬ成熟ぶりで、感じ入ったものです。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2012-05-11
そして、今回は古典歌謡やサナートをレパートリーとしながら、
びっくりアレンジで聞かせるアルバムに仕上がっています。
イントロからサルサ・タッチのピアノで始まり、えぇ?と驚いていると、
続いてシャルクのメロディにのせて、エィレムがしとやかなメリスマを響かせます。
異種格闘技みたいな、接ぎ木スタイルのアレンジがすごく面白い。
今作のアレンジは、作編曲家・プロデューサーとしても活躍する
ジャズ・ギタリストのジェム・トゥンジャシュ。
冒頭のサルサ以外にも、タンゴやジャズにアレンジした曲など、
全体にノスタルジックなムードを濃厚とさせながら、
メロディはあくまでもシャルク/サナートというところがミソ。
ライナーの歌詞カードには、各曲のマカームが書かれています。
エィレムもレパートリーの楽想に合わせ、表情豊かに歌っていて、
ジャジーなサナートというユニークな試みを、実に美味に仕上げています。
サナートなどのトルコ歌謡をまったく聴いたことがない、
ヴォーカル・ファンにも、ぜひ勧めてみたくなりますね。
Eylem Aktaş "ÖZLEM" ADA Müzik no number (2018)