ジュジュ化していくフジにいまさら変革を求めるより、
いっそのことサカラの新人に期待を寄せた方が、実りは大きいのかも。
そんなことを思わせる作品に出くわしました。
サカラなんてすたれた音楽に、
いまさら新人が登場することななんてないと思っていたら、
いやあ、出てくるんですねえ。まだまだサカラ、生き延びています。
講談の神田松之丞みたいなものかしらん。
オライウォレ・イショラという名前は聞いたことがなく、ジャケット写真も新しいので、
もしかしたら新人?と思いながら買ってきたんですが、ホントに新人のようですよ。
インターネットで検索しても、まったく情報が出てきません。
アマゾンでダウンロード販売をしていて、本作と“FAAJI EKO” という
2タイトルのアルバムが、17年3月に販売されてます。
新人といえど、長く歌ってきた人なんでしょうね。
見事に練れたこぶし使いで、土臭い節回しにたまらない味のある歌い手です。
録音が新しいだけあって、サカラのヘヴィーなビートも迫力満点。
ゆったりとした昔ながらのサカラのサウンドなのですけれど、スピード感があって、
かつてのような優雅にスウィングするようなリズム感とは、
センスの異なるモダンさがあります。
また、70年代の初期のフジでよく歌われたメロディがあちこちで出てきて、
ゴジェを弾いていなければ、これ、フジと聴き分けられないだろうなあ。
歌だけ聴いていると、まるっきりフジに聞こえますよ。
シキル・アインデ・バリスターが生み出したフジは、
もともとイスラームの目覚まし音楽ウェレから派生したもので、
サカラ色の強いものだったから、フジと似るのも道理なんですね。
オライウォレがここでやっているサカラは、フジとしては古い初期のスタイルで、
これまでのサカラになかったモダンなスピード感を組み合わせたところが
とても新しく、ユニークなものとなっています。
面白いのは、オライウォレが弾いているゴジェで、
歌のバックでずーっと1音(モノ・トーン)で弾いている場面が多く、
まるでドローンのように鳴らしているんですね。
オライウォレが歌うメロディには起伏がかなりあり、
サカラとしてはかなりメロディアスだけに、
そのバックでドローンのように鳴り続けるゴジェは、強烈に耳残りします。
Olayiwole Ishola and His Sakara Group "CURRENT AFFAIRS" Babalaje Music no number