バイーアの3人のヴェテラン・サンビスタが集まり、
各自4曲ずつ持ち寄って歌ったサンバ・アルバム。
この企画の下敷きとなったのが、73年にフォンタナから出た
バイーアの重鎮サンビスタ3人、リアショーン、バタチーニャ、パネーラによる
“SAMBA DA BAHIA” だというのだから、嬉しいじゃないですか。
“SAMBA DA BAHIA” は、ぼくもさんざん愛聴したバイーアのアフロ・サンバの名盤。
リアショーンの野性味たっぷりなマランドロ気質をうかがわせる歌いっぷりと、
対照的にバタチーニャの哀愁味のある繊細な味わいなど、
リオとは違うバイーアの闊達なサンバをとことん味わえるアルバムです。
リアショーンもバタチーニャも本作が初アルバムで、
パネーラにいたっては、このアルバム以外の録音を聞いたことがないという
極端に録音が少ない人たち。
いまだ未CD化というのも、この名盤が忘れられている証拠と思っていましたが、
こんな企画が立てられて新たなサンバ・アルバムが制作されるとは、
神様はちゃんといるんだななんて、不信人者のぼくでも思っちゃいますね。
ギガ・ジ・オグン、セウ・レジ・ジ・イタプアーンという人は初めて知りましたが、
ヴァルミール・リマは、リアショーンやバタチーニャたちとも一緒に歌ったサンビスタで、
その作品はベッチ・カルヴァーリョやフンド・ジ・キンタルなどもよく取り上げていました。
ヴァルミールのコクのあるノドは、さすがヴェテランの味わいといえます。
ギガ・ジ・オグンのあけっぴろげな歌いっぷりは、庶民的な雰囲気いっぱいだし、
低音のセウ・レジ・ジ・イタプアーンの歌声も温かみがあって、
ときどき音程が怪しくなるあたりも微笑ましくて、憎めません。
‘SAMBA’ と ‘BAHIA’ をひっくり返したタイトルも、
かつてのバイーア・サンバ名盤へのリスペクトに溢れた
サンバ・ファン必聴の名作誕生です。
Guiga De Ogum, Walmir Lima & Seu Regi De Itapuã "BAHIA DÁ SAMBA" Kyrios KYRIOS3426-18 (2018)
[LP] Riachão, Batatinha e Panela "SAMBA DA BAHIA" Fontana 6470.506 (1973)