あけましておめでとうございます。
金色に飾られたジャケットが、おめでたい正月気分に似合う、
マレイシアの伝統歌謡アルバムです。
マレイシアの伝統歌謡、2000年前後はずいぶん盛り上がったものの、
すっかりごぶさたとなっていまい、
最近は新録も届かなくなってしまいました。
久し振りに見つけた男性歌手の伝統歌謡アルバム、
なんとマレイシア伝統音楽界の重鎮S・アタンのプロデュースというので
即飛びついたんですが、クレジットを見てみれば、14年のアルバム。
あれまあ、もう6年も前のものだったか。
見逃し物件だったとわかり、ちょっとがっかりしましたけれど、
でも気付いてよかった好アルバムです。
クセのない甘い声と柔らかなこぶし使いで、
ジョゲット、ザッピン、アスリ、ドンダン・サヤン、クロンチョンなど、
多彩な伝統歌謡のレパートリーを歌っています。
S・アタンのアコーディオンを中心に、
ルバーナなどのパーカッションがマレイシアの伝統リズムを奏で、
モダンに仕上げたプロダクションもばっちりですね。
62年生まれのナッシエル・ワハーブは、
スロー・バラードを得意とするポップ・シンガー。
80年にS・アタンの後押しでデビュー作をリリースするという幸運に恵まれ、
80年代後半にポップ・バラードやダンドゥットを歌って人気を博したとのこと。
伝統歌謡に挑戦した本作のオリジナルは、00年の“KE PUNCAK PERSADA” で、
12年のアルバムから1曲‘Keroncong Kerinduan’を追加して
再発したものだったんですね。
う~ん、結局このアルバムも、
伝統歌謡ブームとなった時代の置き土産作品だったのかあ。
シティ・ヌールハリザやノラニーザ・イドリスたちが活躍したのも、今や昔。
あの頃のようなブームが再来しなくてもいいから、
せめてコンスタントに、伝統歌謡の新作を聴かせてもらいたいものです。
Nassier Wahab "TAK MUNGKIN HUJAN BALIK KE LANGIT" Musicland 51357-23472 (2014)