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ギネア=ビサウの成熟したクレオール・ポップ エネイダ・マルタ

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Eneida Marta  IBRA.jpg

へぇ、ずいぶんご無沙汰していた間に、円熟したんだなあ。
ギネア=ビサウの女性歌手エネイダ・マルタの4作目となる新作です。
久しぶりに聴いた歌声が見違えるようで、
あれ、こんなにいい歌い手だったけかと、ちょっとドギマギしちゃいました。

エネイダ・マルタというと、世界デビューした06年の“LÔPE KAI” が
代表作として知られていますけれど、ぼくは声が苦手で手放しちゃったんですよね。
けっこう評判の良かったアルバムではあったんですが。
06年作のあと、15年にアルバムを出していたようなのですけれど、そちらは未聴。
というわけで、13年ぶりに聴いたわけなんですが、これ、とてもいいアルバムです。

冒頭の‘Alma Na Fala’ は、ぼくが密かに注目していた、
ギネア=ビサウの新進女性シンガー・ソングライター、カリナ・ゴメスの作品。
この人の15年作“MINDJER” をいまだ入手できずにいただけに、おっ!と思いました。
ギターラ(ポルトガル・ギター)をフィーチャーしたバラードで、
昨年亡くなったエネイダと共に活動していたコラ奏者イブラヒム・ガリッサに
哀悼を捧げた曲とのこと。祈りが込められたメロディを、
ドラマ性のあるサウンドが鮮やかに演出しています。

このアルバムでは、ギネア=ビサウ音楽シーンを飾ってきた、
重要な音楽家の作品を多く取り上げていて、
さきほどのカリナ・ゴメスやレンナ・シュワルスといった若手の作品から、
70年代のギネア=ビサウを代表するバンド、コビアナ・ジャズのアリウ・バウや、
名門バンド、スーパー・ママ・ジョンボのオリジナル・メンバーの
ゼー・マネール・フォルテスなど、新旧作品が並びます。

ゼー・マネールについてはコーラスでも参加していて、
彼の曲‘Koitadi’ では、バラフォンのカクシ味も利いた
マンデ・ポップ風のサウンドを聞かせていますよ。

ギネア=ビサウのグンベーを核として、優雅なクレオール・ミュージックを
聞かせる本作、アクースティックな音感を強調しながら、
シンセサイザーでサウンドをブレンドさせたプロダクションが見事です。
プロデュースは、モニク・セカやサリフ・ケイタとの仕事でも知られる
コート・ジヴォワールの名アレンジャー/エンジニアのクドゥ・アタナセ。
参加ミュージシャンの顔ぶれを見れば、ギネア=ビサウといえばこの人という、
ギタリストのマネーカス・コスタもちゃんといますよ。

アンゴラやカーボ・ヴェルデなどポルトガル語圏アフリカから、
成熟したクレオール・ポップのアルバムが相次いで出るようになりましたけれど、
ギネア=ビサウからもついに登場した、そんな実感を持つ快作です。

Eneida Marta "IBRA" Algeventos ALGEVENTOS003 (2019)

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