どっかーーーーん。
ド迫力な黒人女性マスクに、たじたじ。
その昔アフロ・ブラジリアン宗教音楽/サンバ女性歌手アパレシーダのシッド盤LPを
手にした時のことを思い出しました。
ドロドロのマクンバかヴードゥーでも出てきそうな
表紙にビビっていたら、
ヴィデオ・クリップでは、
ニコニコと愛嬌たっぷりに歌っていて、
シロウトに毛が生えた素朴な歌い口は、
なかなか愛らしいところもあります。
ケースを開けてCDを取り出すと、トレイの下には、
にこやかなルッシが写っていて、
おっかない熊みたいなブッちょずら(失礼)の表紙は、
インパクト狙いなんでしょうか。意味不明ですね。
さて、ひと安心して聴いてみれば、シャープな高音を響かせる太鼓のタンブーに、
アコーディオンが絡むビギンふうの1曲目から、いい感じです。
こりゃ、マルチニーク/グアドループ音楽ファンにはたまらんでしょう。
と思いきや、ルッシは、フランス領ガイアナの女性シンガーなんですって。
ビギンふうと思った1曲目は、ライナーには「カセ・コ・コイ・カセ」と書かれてあります。
え? これカセーコなの? スリナムのカセーコと何か関係があるんでしょうか。
もう1曲「カセ・コ・コイ・カセ」とクレジットされた曲がありますけれど、
そちらはクラリネットがフィーチャーされていて、
1曲目同様、ユジェーヌ・モナふうの田舎のビギンに聞こえます。
ほかにマズルカなども歌っていますが、
ズーク・ラヴやコンパ・ラヴのほか、バチャータも1曲歌っていて、
表紙からはとても想像つかない、ポップなアルバムに仕上がっているんでした。
そういえばアパレシーダだって、中身はけっこうポップで、意外に思ったんだっけ。
全曲ルッシことマチュー・テオドール・エルシの作詞作曲となっていますが、
5曲目は、まごうことなきカーペンターズの「トップ・オヴ・ザ・ワールド」。
うわはは、これを自作曲とクレジットしちゃうの、すごいな。
L’Si "RÉALITÉ DE LA VIE" Debs Music no number (2015)
[LP] Aparecida "FORAM 17 ANOS" Cid 8015 (1976)