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レユニオン発クレオール・ジャズ セドリック・デュシュマン

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Cedric Duchemann.jpg

レユニオンのジャズ・ピアニスト、セドリック・デュシュマンは、
メディ・ジェルヴィルに続くレユニオン期待の若手。
ザヴィヌル・シンジケートのドラマー/パーカッショニストとして知られる
パコ・セリーのグループで活動したのち、マルチニークのベーシスト、
ジャン=クリストフ・ラウファストと組んでゼピシを結成し、
12年にアルバムを出していて、今作がソロ・デビュー作となります。

11曲中7曲でドラムスを叩いているエマニュエル・フェリシテは、
メディ・ジェルヴィルの“TROPICAL RAIN” でも叩いていた人。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-04-09
ゲストにマルチニーク出身のベーシスト、ミッシェル・アリボや、
ヴェトナム系フランス人ギタリストのグエン・レが起用されているところも、
メディ・ジェルヴィルの“TROPICAL RAIN” と共通していて、
ここらへんはフランス海外県のコネクションなんだろうな。

セガやマロヤのリズムを借用したトラックはあるものの、
‘Ségalougarou’ と題されたトラックはセガと無関係な演奏となっていて、
マロヤ・ジャズを標榜するメディ・ジェルヴィルのスケール感には及びません。
全体にカリブ/ラテン色の強いワールド・ジャズ・フュージョンといったサウンドで、
ジャズよりもフュージョンのニュアンスがやや強い演奏となっています。

セドリッキ・ボウの良く歌うギターも、フュージョン的な予定調和感が強く、
ジム・セレスタンのサックスも、激しいブロウを繰り広げるかと思えば、
ほかの曲ではグローバー・ワシントンみたいなヤワなソプラノを吹いたりしていて、
いまひとつ個性がはっきりしないところが、ちょっともどかしいなあ。
むしろ、ゲストのグエン・レの冴えたギター・プレイや、‘Somiz' zon'’ で聞かせる
アラン・ホールズワースばりのトーマ・マネロウクのテクニカルなプレイが
強く印象に残りました。この人もレユニオンの人だそうです。

デュシュマンという苗字から察するに、
セドリックはインド系移民の末裔だと思いますけれど、
15歳の時にセガのファミリー・グループで初レコーディングをしたという経歴を聞くと、
ひょっとして家族はモーリシャスから渡ってきたのかな?という気もしてきます。
セガやマロヤというインド洋クレオール・ミュージックに、
フランス海外県をネットワークとしたフレンチ・カリブのクレオール・ミュージックが
さらに交わった新時代のクレオール・ジャズが、
少しずつ花を広げてきたのを実感する1枚です。

Cedric Duchemann "TROPICALISM" Couleurs Music no number (2019)

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