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タウンシップ・ジャズの心意気 パット・マッシキザ

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Pat Matshikiza and Kippie Moketsi  SRKWL786153.jpg   Pat Matshikiza and Kippie Moketsi  CDSRKWL786153.jpg

うわぁん、やっと届いたあ!
南アのトレーダーから、「アンタが欲しがってたCDを見つけたよ」という
メールが3月の上旬に入り、小躍りしたのもつかの間、
なんとCO-VID19の影響で日本向け出荷が停止という措置に、がーん。
「禁輸が解けたら送るから」という慰めのメールをもらって、待つこと3か月。
6月に入ると空輸が再開したという知らせが入り、DHLでようやく無事到着。

20年近く探し続けて、「おあずけ」を食らっていたCDは、
タウンシップ・ジャズの名盤中の名盤、ピアニストのパット・マッシキザが、
アルト・サックスの名手キッピー・ムケーツィとの共同名義で出した
82年作の”TSHONA!” です。
ダラー・ブランド(アブドゥラー・イブラヒム)の大名作”AFRICAN HERBS” に並ぶ、
南ア・ジャズの傑作ですけれど、日本でこのアルバムを知る人が果たしているかしらん。

バブルガム全盛の80年代南アで、ジャズ冬の時代だった当時、
タウンシップ・ジャズの心意気をたぎらせていた音楽家たちの
貴重な記録ともいえるアルバムなんですよ、これが。
アパルトヘイトの過酷な環境下で、南アにとどまりながら活動を続けた
パット・マッシキザの代表作であります。

ダラー・ブランドの”AFRICAN HERBS” と同じザ・サンのレーベルから出た本作は、
タウンシップの日常を描いたジャケットのアートワークが強烈で、
LPで長年愛聴してきたんですよね。まさかCD化されているとは思わず、
気付いた時にはすでに廃盤で、いやー、長い道のりでした。
いったいこのCD、何枚プレスされたんだろう。
オリジナルのLPより、プレス数は少ないことは間違いなく、LPよりCDの方がレアだろうな。

全4曲、A面2曲がパット・マッシキザ、B面2曲がキッピー・ムケーツィのコンポーズ。
ダラー・ブランドのアルバムでもプレイしていた、テナー・サックスのバジル・コーツィーが
フィーチャーされ、熱いブロウを聞かせてくれます。
シャープに切り込んでくるキッピーのアルトと好対照で、
パットがゴンゴン叩く硬い響きのピアノの和音が、サウンドを支配しています。
この演奏の熱量と楽曲の雄大さはどうです。あらためてタウンシップ・ジャズが持つ
スケールの大きさに感じ入ってしまいますね。

パットはその後、ホテルでの演奏を主な活動場所として生計を支え、
ボツワナやスワジランド(当時)にも足を伸ばしたそうです。
ようやくジョハネスバーグのジャズ・シーンにカムバックしたのは、
2000年を過ぎてからでした。

Pat Matshikiza  SEASONS, MASKS AND KEYS.jpg

パットの最後のレコーディングとなった05年の“SEASONS, MASKS AND KEYS” は、
作曲家としての側面に大きくスポットをあてた作品でした。
ヴォーカリストをフィーチャーした歌ものを中心に、
とびっきり洗練されたサウンドを聞かせたアルバムで、これも忘れることができません。
パットの音楽人生を静かに回顧するようにアルバム終盤に収録された、
‘Tshona’ の再演も感動的です。

[LP] Pat Matshikiza and Kippie Moketsi "TSHONA!" The Sun SRK786153 (1982)
Pat Matshikiza and Kippie Moketsi "TSHONA!" As Shams/The Sun CDSRK(WL)786153
Pat Matshikiza "SEASONS, MASKS AND KEYS" Catwalk CDCAT002(ON) (2005)

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