うわぁ、なんて懐かしい名前!
カメルーンのマコッサのシンガー・ソングライター、
アクセル・ムーナのCDが、91年に出ていたなんて!!
コロナ禍でレコ屋巡りができないかわりに、ネットで次から次へと、
思いもよらないCDが、まあ網にかかること、かかること。
新作じゃなくて、中古CDの紹介続きで恐縮なんですが、
今回はアフリカ音楽に夢中になりたての頃、
好きになったミュージシャンのお話。
78年、日本で初めてアフリカン・ポップスのCDを輸入した高円寺のアミナダブで、
ジャケットをにらみながら、どこの国のレコードかさえわからない情報皆無の状態で、
せっせとフランス、ソノディスク盤を買っていた昔話は、だいぶ前にしたことがあります。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2010-01-12
当時そんなアフリカン・ポップスのレコードをかけるお店が、高田馬場にあったんですよ。
そのお店タムタムは、セネガルとマリを放浪して帰国した
井古田秀彦さんが開いた、アフリカン・スナック喫茶でした。
大阪万博のウガンダ館に展示されていた大太鼓が、
メイン・テーブルとしてどーんと置かれていた、本格的にアフリカンなお店でした。
井古田さんがアフリカの旅で持ち帰ったバラフォンやトーキング・ドラムに、
アフリカ関係の書籍もたくさん置いてあって、いや、ほんとパラダイスでしたね。
隣駅にある大学に通っていたので、授業の空き時間とかに、入り浸ってたもんです。
タムタムでアクセル・ムーナの“BOBIA” を聴いたのは、大学卒業後のことでした。
カメルーンのマコッサといえば、マヌ・ディバンゴが一番有名ですけれど、
もっと若い世代のJ・M・ティム&フォティあたりが伸びてきた時代で、
アクセル・ムーナのファンキーさに、イッパツでやられたものです。
84年に出たとうようさんの『アフリカの音が聞こえてくる』でも、
このレコードが高く評価されていて、お、とうようさんも、と嬉しくなりましたね。
このアルバムの収録曲‘Juventus’ は、マコッサの歴史的名演を編集した
名コンピレ“60 ANS DE MUSIQUE MAKOSSA ANTHOLOGIE ACT.1 1950-2011” にも
選曲されていて、『ポップ・アフリカ800』にこのコンピレを選盤した時、
アクセル・ムーナの名前に触れたことを覚えています。
で、それ以来、聞かなくなっていた名前でしたけれど、
調べてみたら、なんとこのCD、“BOBIA” から10年ぶりの作品だったんですね。
“BOBIA” のアレンジャーだったマコッサの名ギタリスト、トト・ギヨームが、
本作でもアレンジを務めているほか、びっくりしたのは、リシャール・ボナの参加。
91年のパリ録音で、リシャール・ボナが参加しているというのは、
ボナのもっとも初期の仕事じゃないですかね。
カメルーンの同郷ミュージシャンということで呼ばれたのでしょうけれど、
ひょっとして初レコーディングだったりして。
このほか、カッサヴのメンバーで知られる、マルチニークのキーボード奏者
ジャン=クロード・ネムロが参加しているのにも、目を引かれますね。
当時カッサヴのメンバーの多くが、マヌ・ディバンゴのバンドで仕事をしていたから、
そのコネクションによる参加でしょう。
ドラムスやシンセの音色など、いかにも90年代らしいサウンドで、
かなりズーク色の強い作品となっています。
マコッサらしいファンキーさと、ズークやスークースなど、
流行のサウンドを巧みに取り入れたポップ・サウンドで、
最後の曲がサルサ・アレンジというところも、
カメルーンらしいコンテンポラリーなセンスが発揮されたアルバムですね。
Axel Mouna "TIME NI TIME" Sim's Productions 49910 (1991)
[LP] Axel Mouna "BOBIA" Africa Oumba AOLP005 (1981)
Francis Bebey, Eboa Lotin, Manu Dibango, Misse Ngoh, Axel Mouna, Toto Guillaume, San Fan Thomas and others
"60 ANS DE MUSIQUE MAKOSSA ANTHOLOGIE ACT.a 1950-2011" Musicocenter Production (France) CD0969