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円熟したアンニュイ・ヴォーカル ガブリエラ・アンダース

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GabrielaAnders COOL AGAIN.jpg

ガブリエラ・アンダースの新作 !?
うわぁ、すんごい、ひさしぶり~。今も歌っていたんだぁ、嬉しいな。

アメリカのボサ・ノーヴァ・ユニット、ベレーザのヴォーカルとして名をあげた彼女ですけど、
ぼくがトリコになったのは、98年のソロ・デビュー作の方。
ボサ・ノーヴァをベースに、ジャズ、ソウル、サルサ、レゲエ、ダブなど、
多様な音楽をブレンドしたサウンドにのせて歌うウィスパリング・ヴォイスに、トキめいたのでした♡

サウンドもとびっきり洗練されていて、スタイリッシュなAORといった趣は、
アメリカより日本で受けるタイプのシンガーのように思えましたね。
あとになって知ったことですけれど、彼女はベレーザ以前に、
セルヒオ・ジョージのプロデュースによる日本向け企画で、
ジリアンとのコンビによるザ・ピーナッツのサルサ・カヴァー集も出していたんですね。
う~ん、日本のプロデューサーもめざといなあ。

Gabriela Anders  WANTING.jpg   Gabriela Anders  LAST TANGO IN RIO.jpg

そして、デビュー作の“WANTING” の次に愛聴したのが、4作目の“LAST TANGO IN RIO”。
こちらは、ヒネリの利いたタイトルどおり、バンドネオンをフィーチャーしたのがミソ。
アルゼンチン生まれのガブリエラらしい、ボサ風味のポップスに仕上げていて、
これもいいアルバムだったなあ。
アクースティックなサウンドのテクスチャが、
けだるくアンニュイなガブリエラのヴォーカルとマッチして、爽やかな小粋さを演出していましたね。

あれから十年以上が経ったんですよねえ。
その間には、ガブリエラ・アンダースのそっくりさんがブラジルから登場して、
即ファンになったりもしたんでした。誰のことか、おわかりですか? タミーですよ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-04-11
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2013-10-29

昨年出た新作、一目みて、おおっと思ったのは、ジャケットに彼女の写真を使わなかったところ。
メジャー・レーベル時代の、モデルばりの美人を押し出した売れ線ジャケに
彼女自身、ヘキエキとしてたんじゃないのかな。
美人ジャケで内容のないチャラい作品と軽んじられるのを敬遠したのなら、その意気に感ずです。
もともと彼女はカレッジでオーケストレーションを学び、高い作曲能力も持つ、
れっきとした音楽家なんですからね。

タイトルが示すとおり、新作は、クールな彼女の音楽性を前面に押し出した、
シブい作品に仕上がっています。
ご主人のウェイン・クランツのギターに加え、アンソニー・ジャクソンのベース、
オラシオ“エル・ネグロ”エルナンデスのパーカッションといった名手を従えた
7人編成のバンドによる一発録りぽい生演奏で、
よりジャズ・ヴォーカル的な作品に仕上がっています。

オシャレなサウンド・プロダクションから距離を置き、音数を少なめにしたことで、
ガブリエラの音楽性であるクールネスを、よりくっきりとさせた新作。
その円熟した味わいは、オシャレな美人ヴォーカルなんてナメてる人を、驚かせますよ。

Gabriela Anders "COOL AGAIN" East Village Joint no number (2015)
Gabriela Anders "WANTING" Warner Bros. 9-46907-2 (1998)
Gabriela Anders "LAST TANGO IN RIO" Narada 9-46907-2 (2004)

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