ずいぶん聴いてなかったなあ、ヴァルテイナ。
ぼくがこのグループを知ったのは、ご多分にもれず、94年の“AITARA”。
言わずと知れたヴァルティナの代表作で、
フィンランドの伝統音楽を大胆にポップ化した、一大名盤でしたよね。
伝統性をしっかりと保持しながら実験性を高めていくという彼女たちの方向性は、
このあとも続いていくわけなんですが、“AITARA” を凌ぐアルバムは現れませんでした。
インダストリアル・ビートを取り入れたりと、野心的な意欲は買いたいんだけれど、
すんません、ぼくにはトゥー・マッチです、みたいなアルバムがずっと続いたもんで。
そんなわけで、最近はすっかり遠ざかっていたヴァルティナなんですが、
故郷カレリアの伝統に立ち返ったという新作、ライスから日本盤も出て評判がいいというので、
試聴してみたら、あら、びっくり。
リフレッシュされたヴァルティナ・サウンドが飛び出てきて、目を見開かされちゃいました。
まず、サウンドが一新。アクースティックなサウンドにがらりと変わりましたね。
カンテラやニッケルハルパといった伝統楽器の響きをメインに打ち立て、
かつてのエレクトロやファンクの要素はぐっと後退しました。
伝統様式の輪唱を聞かせたり、サーミのヨイクもあるなど、
北欧の音楽文化の古層に触れる試みを行う一方で、
ヴァルティナ流のポップなはじけぶりはこれまでどおり健在で、
速射砲コーラス&掛け合いがたっぷりと楽しめます。
なんでも、ロシア領カレリア地方を訪問したことをきっかけに、
自分たちのルーツに立ち返り、この作品を制作したのだそうで、
うん、この方向性、絶対支持だな。
さっそく買ってじっくり聴こうと思ったら、ライス盤はライセンスのドイツ盤。
わ~ん、オリジナルのフィンランド盤じゃないんですかあ。
しかたなくフィンランドから取り寄せ、えらい時間がかかちゃいましたが、ただ今絶賛愛聴中です。
Värttinä "VIENA" KHY Suomen Musiikki Oy KHYCD075 (2015)