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チルでスウィートなシャングリ=ラ ムーンチャイルド

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Moonchild  Little Ghost.jpg

オープニング早々から、アンバー・ナヴランのタメ息ヴォーカルに導かれて、
一気にムーンチャイルド・ワールドへいざなわれるこの快楽。
前作“VOYAGER” でトリコとなり、ライヴも観て、すっかり彼らの大ファンとなりました。
https://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2017-06-22

4作目を数えるムーンチャイルドの新作は、
鍵盤の織り成すレイヤーが、ホログラフィックな映像を見るかのような
美しさだった“VOYAGER” のサウンドとうって変わって、レイヤーをほとんど使わず、
音数をぎりぎりに絞ったシンプルなサウンドへ様変わりしました。
さらに、今回はウクレレやギターといった弦楽器を使って、
新たな響きの実験も試みていますよ。

これだけ、前作の“VOYAGER” とはサウンドを変えてきているのに、
ムーンチャイルドというグループの音楽性に揺るぎがないのは、
3人が生み出すサウンドのグランド・デザインがしっかりとしているからでしょうね。
あと、ゆっくりと雲が流れていく空模様を映すようなコンポジションも、
ムーンチャイルドの世界観を決定づける大事なファクター。
起承転結をつけないミニマムなソングライティングが、
ムーンチャイルド独特の空気感と浮遊感のあるサウンドのベースとなっています。

今作のように、サウンドを削ぎ落としていくと、
音の組み立てをわずかに変えただけで、サウンドの表情ががらりと変わりますけれど、
ムーンチャイルドのサウンドスケープをキープするために、
前作以上に緻密なサウンドづくりをしていることがよくわかります。

アンバーのヴォーカルのリード・ラインにささやき声を加えて、ソフトさに厚みを加えたり、
曲と曲の合間に、ビートの変化をつなぐための音を足して、
アルバム全体の流れをスムーズにしたりと、そのデリケイトな音づくりに感じ入ります。
チルでスウィートなシャングリ=ラを創り出す、LAの若き3人の才能に脱帽です。

Moonchild "LITTLE GHOST" Tru Thoughts TRUCD383 (2019)

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