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ガレージ・サウンドに輝くアフリカ女性の未来 スター・フェミニン・バンド

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Star Feminine Band.jpg

あけましておめでとうございます。

ここ数年来、90年代生まれの音楽家の活躍に、
ワクワク・ドキドキさせられていますけれど、
ついに2000年代生まれから、ノック・アウトをくらう時代がやってきましたよ!

それが、ベニンから登場したスター・フェミニン・バンド。
ガール・バンドがほぼ存在しないアフリカで、
10歳から17歳までの少女7人組のバンドが登場したとは、驚くべきことです。
圧倒的に男性優位のアフリカ社会で、女性は歌手やダンサーになれても、
楽器奏者になるのは、容易なことではありません。
そもそも女性が楽器に触れること自体をタブー視する伝統社会の習わしは、
いまだ根強く残っているからです。

そんな前近代的な価値観を突破して、女性のエンパワーメントを進めるためには、
女性たちが旧来の誤った習慣やメンタリティを身につけてしまう前に
教育訓練をする必要がある。
そんな強い問題意識から、旧来の価値観に染まる前の若い女の子に、
チャンスと可能性を与えようと画策したベニンのミュージシャン、
アンドレ・バラゲモンの努力が、実を結びました。

16年7月、アンドレはベニン北西部アタコラ県の県都ナティティングー市の支援を受け、
地元のラジオ局ナントFMで、少女向けの音楽ワークショップの応募を募ります。
すると、周辺の村から数十人の志願者が青少年センターに集まり、
最終的にワーマ人とナボ人の女の子7人を選んで結成したのが、
スター・フェミニン・バンドです。

アンドレは市から借り受けた博物館の別室で、彼女たちに楽器を教え、
週3回リハーサルを行いました。学校が休みの間は、
月曜から金曜の午前9時から午後5時まで、毎日リハーサルを重ねたそうです。
当初、キーボードやドラム・キットを見たことすらない少女たちは、めきめき上達し、
アンドレが作曲した曲で、自分たちの文化を歌うこと、
自分たち女性が置かれている状況(性器切除の問題など)を歌うこと、
そして、男性たちからの解放と女性自身の可能性を歌うことを学んでいきました。

ヴォランティアでベニンにやってきたフランス人エンジニア、ジェレミー・ヴェルディエが
彼女たちのコンサートを偶然に見たことから、レコーディングへの道が開かれました。
コンサートに感銘を受けたジェレミーは、スペイン人サウンド・エンジニア2人を連れて、
ナティティングーを訪れ、アンドレとともに本デビュー作を制作したのでした。

ハチロクで突進していくグルーヴが凄まじいオープニングの‘Peba’ から、
ハチキレそうな歌とコーラスが胸をすきます。アンドレの解説によれば、
ナボ、プール、ワーマなど、ベニン北部のリズムを使っているのだそう。
ゲストをいっさい招かず、7人だけのレコーディングに徹したことが、尊く思えます。
7人の懸命な演奏が生み出す躍動感の前には、
演奏力の稚拙さといった些細なことなど、吹き飛んでしまいますよ。

学校を諦めさせられ、十代で親から強制的に結婚させられ、早すぎる妊娠によって、
未来への希望を絶たれるアフリカの少女たちを救うために届けられたこの音楽。
胸アツになります。

Star Feminine Band "STAR FEMININE BAND" Born Bad BB128 (2020)

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