アフロ系ダンス・グルーヴが魅力 エリーダ・アルメイダ
カーボ・ヴェルデのシンガー・ソングライター、エリーダ・アルメイダの3作目となる新作。 過去2作は声や歌いぶりに魅力を感じられず、 あまりいい印象を持っていなかったんですが、 今作はサウンドにさまざまな工夫がみられ、フックの利いた曲が目立つなど、 ソングライターとしての成長がうかがえ、これは注目しないわけにはいきませんね。 まずオープニングのタバンカの‘Bidibido’...
View Articleレイド・バックは確かな歌唱力から マリアーナ・ラモス
マリアーナ・ラモスの99年のデビュー作を発見しました。 今年はナンシー・ヴィエイラのデビュー作といい、 カーボ・ヴェルデのレアなCDがよく見つかる年だなあ。 コンディションはやや難ありだったけれど、ま、しょうがない。 デビュー作はモラベーザから出ていたんですね。 モラベーザは、65年にジョアン・シルヴァがロッテルダムで設立した 初のカーボ・ヴェルデ音楽レーベル。...
View Articleミンデロの海を越える風のように セウザニー
これまたカーボ・ヴェルデの聴き逃し物件。 セウザニーという女性シンガーが、15年に出したセカンド・アルバムです。 清涼感溢れる素直な歌い口が、なんとも気持ちの良い人で、 気負わない自然な歌いぶりに、胸をつかまれました。 モルナやコラデイラといった伝統的なカーボ・ヴェルデ歌謡に、 フォーク、ロック、ヒップ・ホップなどのセンスを落とし込んで、 オーガニックなクレオール・ポップとして歌える人です。...
View Articleコンゴのママたちのエレクトロ・ララバイ レ・ママン・デュ・コンゴ &ロビン
うわ、めっちゃ、キュート。 コンゴ(ブラザヴィル)の若いママ5人、レ・ママン・デュ・コンゴと フランス人トラックメイカーのロビンが出会って、 インスピレーションのノリいっぱつで仕上げたふうなアルバム。 ミニマルなトラックにジャスト・フィットしている女性コーラスは、 ちょい聴きでは伝統的にも聞こえますけれど、 そのビート・センスは、ヒップ・ホップを消化していることは明々白々。...
View Articleマイ・ベスト・アルバム 2020
藤井風 「HELP EVER HURT NEVER」 ユニバーサル UMCK7064/5 (2020) 米津玄師 「STRAY SHEEP」 ソニー SECL2598 (2020) Kem "LOVE ALWAYS WINS" Motown B003265002 (2020) Jhené Aiko "CHILONBO" Def Jam Recordings...
View Articleガレージ・サウンドに輝くアフリカ女性の未来 スター・フェミニン・バンド
あけましておめでとうございます。 ここ数年来、90年代生まれの音楽家の活躍に、 ワクワク・ドキドキさせられていますけれど、 ついに2000年代生まれから、ノック・アウトをくらう時代がやってきましたよ! それが、ベニンから登場したスター・フェミニン・バンド。 ガール・バンドがほぼ存在しないアフリカで、 10歳から17歳までの少女7人組のバンドが登場したとは、驚くべきことです。...
View Articleニッポンを押し出した洋楽ポップス 米津玄師
米津玄師の『STRAY SHEEP』を、2020年のベスト・アルバムに選んでおきながら、 記事にしていなかったんだっけ? あれれ、これはウカツだったなあ。 去年は、藤井風の無頼な歌いっぷりの生々しさにヤラれていたところに、 続いて、やるせない感情をさまざまな物語にのせてぶつけてくる、 米津の歌いぶりに、もう完全にノック・アウト。 普段歌詞などまったく頓着しないのに、...
View Articleブラジル色を初めて打ち出したルデーリ
う~ん、結局なんだかんだ、よく聴いているんだから、 やっぱり書き残しておこうかなあと、重い腰を上げたルデーリの新作です。 最初聴いた時は、かなりガッカリしたんですよねえ。 ヌルすぎるだろう、これじゃあと。 新作は、ピアニストのフィリップ・バーデン・パウエルの御父上である バーデン・パウエルの未発表曲集なんですが、う~~~~ん。 マテリアルがぼくの期待とは違っちゃった、というところですかねえ。...
View ArticleシカゴAACMジャズの伝統を移植したイタリアン・カルテット ルーツ・マジック
なんじゃ、このレパートリー !? オーネット・コールマン、サン・ラ、フィル・コーラン、チャールズ・タイラー、 カラパルーシャ・モーリス・マッキンタイヤというフリー/アヴァン・ジャズに、 チャーリー・パットン、スキップ・ジェイムズというデルタ・ブルースの取り合わせ。 これが3作目という、ルーツ・マジックなるイタリアはローマの2管カルテット。...
View ArticleアンダーグラウンドR&Bのイノヴェイター カイヤエイ
カイヤエイ? ケイヤエイ? どう発音するのかわからないんですが、スゴい才能が登場しましたね。 バンドキャンプで残りわずか2枚になっていた限定CDを、 ギリで入手できたんですが、R&Bのシンガー・ソングライターという紹介では、 到底説明しきれない、サウンド・クリエイターぶりに驚かされました。 93年シカゴ生まれ、ニュー・ヨークのブルックリンで活動するカイヤエイこと...
View Articleマルチニークのクレオール・ミュージックを更新し続けるマラヴォワ
ソロ・シンガーとして独立したラルフ・タマールがカムバックして マラヴォワが完全復活した09年の“PÈP LA” から11年。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2009-11-25 その後、40周年記念ライヴや、大勢のゲスト歌手を囲んだ “MATEBIS” の続編的アルバムもありましたけれど、 ずっと待ち望んでいたのは、こういうオリジナル・アルバムだったんですよ。...
View Article南ア+ドイツ産ネオソウル・ユニット セバ・カープスタッド
まるで、ムーンチャイルド。 うわぁ、南アからもこういう音楽が出てくるようになったのね。 な~んてキモチいい、たゆたうサウンド。いっぺんでトリコになりました。 セバ・カープスタッドは、南アとエスワティニ出身の男女ジャズ・ヴォーカリストに、 ドイツ人2人によるユニット。両国を行き来しながら、活動をしているそう。 ネオソウル、ヒップ・ホップ、ジャズが結びついた音楽性は、...
View ArticleンゴマのEPいろいろ
[EP] Manu Dibango et Son African Soul Quintet "Coco / Ahi Pachanga / Tu No Me Quieres / Amor Ymas Amor" Ngoma 74 (1962) 毎年恒例の『レコード・コレクターズ』のお正月企画「私の収穫」に、 今年は、若き日のマヌ・ディバンゴのンゴマ盤EPをお披露目しました。...
View Article自由にはばたけ 松丸契
石若駿が昨年結成した新グループ、SMTKのアルバムを聴いて、 強烈に耳残りしたのがサックスのプレイでした。 石若がフックアップした、松丸契という新人だと教えられ、 スゴイ人が出てきたなとは思っていましたけれど、 初リーダー作を聴いて、こりゃとんでもない逸材だと衝撃を受けました。 いきなり冒頭からマルチフォニックをかまして、リスナーを驚かせるんですけれど、...
View Articleフナナーいろいろ シャンド・グラシオーザ、フェロー・ガイタ
フェロー・ガイタを結成し、伝統フナナーを再興したシャンド・グラシオーザについて、 以前ここで記事にしましたが、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-02-27 そのシャンドが11年に出していたゴスペル・アルバムを見つけました。 コンテンポラリーなアフロ・ポップといった仕上がりで、...
View Articleカーボ・ヴェルデの伝統ポップ・シンガー・ソングライター ネ・ナス
ネ・ナスことマヌエル・ゴンサルヴェスは、 フェロー・ガイタに曲提供をしたこともあるシンガー・ソングライター。 本作は45歳になってようやく出した、遅すぎたデビュー作です。 ネ・ナスは、フォゴ島の生まれ、サンティアゴ島育ち。 フナナー、タバンカ、バトゥク、コラデイラが自分のルーツと言います。 02年にアメリカへ渡り、ロード・アイランドのカーボ・ヴェルデ人コミュニティで...
View Articleアダルト・オリエンテッドなカーボ・ヴェルデ・ポップの逸品 ミリ・ロボ
ミリ・ロボ? うわぁ、なんて懐かしい名前。ずいぶん聴いていなかったなあ。 92年に出した3作目の“PARANOIA” 以来だから、四半世紀を越すご無沙汰。 どうしていたのかと思っていたら、98年にオス・モバフコというグループの 録音に参加したのを最後に音楽活動から離れ、 故郷のサル島でサラリーマン生活を送ったあと、 農業生産会社とレストランを経営していたのだそう。...
View Articleカーボ・ヴェルディアン・ギターの饗宴 バウ&ヴォギーニャ
バウとヴォギーニャ、カーボ・ヴェルデを代表する名ギタリスト両名の共演作。 15年に出ていたとは知りませんでした。 二人がソロ作を出すルサフリカやセルロイドなら、国際的なマーケットにのるけど、 カーボ・ヴェルデのレーベルじゃあ、情報すら入ってこない視界不良状態ですよぉ。 しかもこれは第2作で、二人は07年に本作と同じボア・ムジカから、 “RELEMBRANDO OS MESTRES”...
View Articleノスタルジックなビルマ歌謡リヴィヴァル サンダヤー・ミョーナイン
俳優・監督・脚本・作家・歌手と多方面に才覚を発揮した、 ミャンマー芸能史に残る大物ウィンウー往年の録音が、 ここ最近まとまって復刻されましたけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-02-29 今度は新たにピアニストのサンダヤー・ミョーナインによる ウィンウーの名曲集が出ました。 いやぁ、これはいいなあ。...
View Articleアメリカで名を馳せた沖縄育ちの豆スター 沢村みつ子
江利チエミや雪村いずみに続く、 日本のポップス・シンガーの草分け的存在だったという、沢村みつ子。 恥ずかしながら、全盛期のコロムビア時代の録音を集大成した本2枚組が出るまで、 まったく知りませんでした。いやぁ、こんな人がいたんですねぇ、ビックリです。 11歳でコロムビア・レコードからデビューした時は、 同じくコロムビア専属の美空ひばりに続く豆スターと呼ばれ、脚光を浴びたといいます。...
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