これまたカーボ・ヴェルデの聴き逃し物件。
セウザニーという女性シンガーが、15年に出したセカンド・アルバムです。
清涼感溢れる素直な歌い口が、なんとも気持ちの良い人で、
気負わない自然な歌いぶりに、胸をつかまれました。
モルナやコラデイラといった伝統的なカーボ・ヴェルデ歌謡に、
フォーク、ロック、ヒップ・ホップなどのセンスを落とし込んで、
オーガニックなクレオール・ポップとして歌える人です。
選曲も良く、エリダ・アルメイダの曲を3曲も取り上げていて、
エリダ・アルメイダのアルバムで手腕をふるう、ギタリストのエルナニ・アルメイダが、
プロデュース、アレンジ、サウンド・エンジニアを務めています。
メロディアスな佳曲を、アクースティックなサウンド・メイクが引き立てていますね。
どういう人なのかと調べてみたら、
フォゴ島出身の父と、サン・ヴィセンテ島出身の母のもとセネガルで生まれ、
2歳の時に家族とともにカーボ・ヴェルデに戻り、ミンデロで育ったとのこと。
08年にコンテストで受賞し、叔父のアルリンド・エヴォラがリーダーを務める
サント・アンタン島のグループ、コルダス・ド・ソルに加入したんだそう。
え?と思って、コルダス・ド・ソルの09年作“LUME D'LENHA” をチェックしてみたら、
ヴォーカルにセウザニー・ピレスとクレジットされているじゃないですか。
あぁ、そうか、この人だったのかぁと、ナットク。
コルダス・ド・ソルのアルバムの中でも、とびっきり爽やかな仕上がりだったのは、
彼女が歌っていたからだったんですよね。
ソロ・シンガーとして独立していたのは知りませんでした。
ゲストのラッパーをフィーチャーした曲も、
なんら違和感なくアルバムに収まっているのも、
セウザニーのコンテンポラリーなセンスが、
カーボ・ヴェルデの伝統歌謡に溶け込んでいるから。
若い世代が新たなテイストで伝統歌謡を更新しているのを実感させる好作、
ミンデロの海を越える風を思わせます。
Ceuzany "ILHA D’MELODIA" Lusafrica/Harmonia 025372 (2015)
Cordas Do Sol "LUME D'LENHA" Lusafrica/Harmonia 024012 (2009)