フェロー・ガイタを結成し、伝統フナナーを再興したシャンド・グラシオーザについて、
以前ここで記事にしましたが、
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-02-27
そのシャンドが11年に出していたゴスペル・アルバムを見つけました。
コンテンポラリーなアフロ・ポップといった仕上がりで、
女性コーラスを従えて、しゃがれたシャンドのヴォーカルがいい味わいを出しています。
ゴスペルとは意外でしたけれど、シンガーとしてのシャンドの魅力を
全面に打ち出した好作品で、あらためていいシンガーだなあと、感じ入っちゃいました。
ポップ曲の合間に、アコーディオンをフィーチャーしたポップ・フナナーを
さりげなく差し挟むところは、さすがシャンドですね。
カーボ・ヴェルデ系オランダ人ピアニストのカルロス・マトスのプロデュース、アレンジで、
マトスのレーベルからリリースされたています。
マトスのジャジーなタッチの流麗なピアノや、
女性コーラスなどの洗練されたアレンジのなか、
アコーディオンやフェローが刻むフナナーやバトゥクのリズムを忍ばせた曲が、
フックとなっていますね。
マトスは、ルイス・モライス、ナンシー・ヴィエイラ、ボーイ・ジェー・メンデス、
サラ・タヴァレス、ディナ・メディスなど、数多くのカーボ・ヴェルデのミュージシャンとの
共演歴があり、スリナムのフラフラ・サウンドとも演奏しているのは、
旧オランダ領のコネクションなのでしょう。
そのシャンドが結成した、フェロー・ガイタの13年作も一緒に入手しました。
6人のメンバーは全員若く、もう初代から残っている人はいませんけれど、
音楽性は結成当初から変わることなく、
アコーディオン(ガイタ)と金属製ギロ(フェロー)をメインに、
メンバー交替によって新陳代謝を高め、伝統フナナーの鮮度を保っています。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-02-25
6人の若いガイタ・フェローのメンバーがコーラスに回り、
シンガーをフィーチャリングするといったフォーマットで、
ヴェテランらしき老練な歌い手の味わい深い歌唱が、
ピチピチした若々しいサウンドと絶妙なコントラストを描いています。
ビトーリとシャンド・グラシオーザの共作‘Rabelado’ では、
ビーニョというヴォーカリストがコクのあるノドを聞かせていて、なかなかの聴きもの。
この原曲はビトーリとシャンド・グラシオーザ名義の
CDS・ミュージック・センター盤に収録され、
ビトーリ名義のアナログ・アフリカ盤でも聴くことができます。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-10-21
なお、このCDには全曲のMVを収録したDVDも付いていて、
カーボ・ヴェルデのさまざまな風景とともに、イキのいいフナナーやタバンカを楽しめます。
Chando Graciosa "KONSÊDJU" Matosmusic no number (2011)
[CD+DVD] Ferro Gaita "KUDO MUNDO" Ferro Gaita Produções no number (2013)