ネ・ナスことマヌエル・ゴンサルヴェスは、
フェロー・ガイタに曲提供をしたこともあるシンガー・ソングライター。
本作は45歳になってようやく出した、遅すぎたデビュー作です。
ネ・ナスは、フォゴ島の生まれ、サンティアゴ島育ち。
フナナー、タバンカ、バトゥク、コラデイラが自分のルーツと言います。
02年にアメリカへ渡り、ロード・アイランドのカーボ・ヴェルデ人コミュニティで
演奏活動をしていて、本作のレコーディングもポータケットで行われています。
クレジットを眺めると、ギターのキム・アルヴェスが2曲で参加しているのが
目を引きますけれど、本作のキー・パーソンはベースのジム・ジョブの方。
ベースのほか、キーボード、ギター、パーカッションを演奏し、
プロデュース、ミックスも担っています。
エレクトリック・ギターを使ってロック色を出したり、爽やかな女性コーラスに
サックスやフルートをフィーチャーして、スムースなサウンドを演出するなど、
曲のカラーに応じたコンテンポラリーなアレンジを施しています。
コラデイラ、バトゥク、フナナーなどのリズムを巧みに溶かし込んだサウンドの
耳ざわりのよさは、職人芸ですね。
知らずに聞けば、上質のAORにも思える、
オーガニック・テイストのアクースティック・サウンドですけれど、その底流には、
しっかりとカーボ・ヴェルデのアフロ系リズムが生かされているもんね。
ネ・ナスの男っぷりのいい歌いぶりは、色気も十分。
さりげなく早口ヴォーカルを聞かせたり、アフロ色濃いエネルギッシュな歌いぶりから
メロウな歌い口まで、さまざまな表情を見せていて、魅力に溢れています。
Ne Nas "BALANCIADU" Ne Nas Musik & Orkka International no number (2017)