グルーミーなセンバ パウロ・フローレス&プロジージョ(エスペランサ)
パウロ・フローレスの新作は、ラッパーのプロジージョとコラボした共同名義作で、 「エスペランサ」というプロジェクト名を冠しています。 暴力や飢えなど、アンゴラの庶民が味わってきた苦しみや痛みの記憶を解きほぐし、 新しい秩序や連帯に基づいた価値観を求めて、 人々に希望と愛を紡ごうと試みたアルバムとのこと。 前作“KANDONGUEIRO VOADOR” でも、...
View Articleビター・スウィート・センバ エルヴィオ
モダン・センバのごひいきシンガー、エルヴィオの新作を入手しました。 2000年代に出た2作を聴き倒したものの、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-10-19 その後音沙汰がなくて、どうしているのかと思っていたんですが、 18年に新作が出ていたんですね。 エルヴィオといえば、なんといっても、この声ですよ。...
View Article南ア抵抗のサウンドトラック アッシャー・ガメゼ
『弁証法的魂』とは、なるほど言い得て妙だと、聴き終えてナットクしました。 「弁証法」や「アウフヘーベン」といった哲学用語で語られることの多かった 60年代後半の時代の空気が鮮やかに蘇るジャズです。 表層的に言えば、ファラオ・サンダースに代表されるスピリチュアル・ジャズの再現と いえるのでしょうけれど、その音楽が説得力を持ってリアルに迫ってくるのは、...
View Articleザディコのアンバサダー コーリー・レデット
14作目を数えるコーリー・レデットの新作は、 シンプルなタイトルが示すとおり、ザディコへ原点回帰した作品となりました。 前作“ACCORDION DRAGON” でも、 オーセンティックなザディコを聞かせていたコーリーですけれど、 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-05-23 今回あらためて家族のルーツを知り、...
View Articleディダディのクイーン ナハワ・ドゥンビア
ナハワ・ドゥンビアの久しぶりの新作は、オウサム・テープス・フロム・アフリカから。 オウサム・テープスは、ナハワの81年デビュー作と82年の3作目のリイシューを出し、 その権利関係をクリアにする過程で、コネクションができたんでしょうか。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2019-09-24 ナハワ・ドゥンビアのアルバムは、04年にコバルトから“DIBY”...
View Articleリメイクされた未発表ファースト・アルバム カンジャファ
マンデ・ポップの未来は、この人にかかっていると、 大きな期待を寄せている、若きンゴニ奏者カンジャファの新作が出ました。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2017-11-01 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2016-12-12 新作といっても新録ではなく、...
View Articleパン=アフリカニズムを標榜するトーゴのアクティヴィストMC イロム・ヴィンス
トーゴ、エヴェ人の正装であるケンテをまとった一族の記念写真は、 アフリカン・テキスタイル好きには、たまんないジャケットですね。 中央の椅子に座るのが、本アルバムの主役であるイロム・ヴィンスの息子で、 イロム本人は表ジャケットには不在で、裏に写っています。 ガーナのアシャンティの王族が身に着けるようになって有名になったケンテは、 黄・赤・青などの原色使いが特徴ですけれど、...
View Article東アフリカ沿岸のナイトクラブに流れたターラブ
大衆ターラブの濃厚な味わいを堪能できる編集作の登場です。 「大衆」という言葉を付けてわざわざ呼んでみたのは、 カルチャー・ミュージカル・クラブや イクファニ・サファー・ミュージカル・クラブといった、 共同体音楽の性格をもった冠婚葬祭向けのターラブではなく、 ナイトクラブなどで演奏された、大衆歌謡のターラブ集だからです。 たとえて言うなら、エスコ-ラ・ジ・サンバと、...
View Article古典ファドの新解釈 アルディーナ・ドゥアルテ
この冬は寒かったですねえ。 去年が暖冬だったので、なおさら厳しく感じましたけれど、 東北や日本海側に暮らす方々にとって、 雪にずいぶん苦しめられた冬だったんじゃないでしょうか。 寒い冬の夜は、ファドを聴くのが定番なんですけれど、 今年はひさしぶりにアマリア・ロドリゲスをずいぶん聴き返しました。 コロナ禍で欝っぽくなる気分を吹き飛ばしたいという心理が働くせいか、...
View Articleチャルガからバルカン・ポップへ イヴァナ
ブルガリア、チャルガの大スター、イヴァナの新作。 オープニングのジタン調のナンバーに続き、2曲目はロック歌謡、 ほかにもジャズありラテンありクラブ・ミュージックありの ポップ・ア・ラ・カルトといった仕上がりで、チャルガらしいナンバーは7曲目のみ。 従来のチャルガを大きくはみ出したコンテンポラリーなサウンドは、 アラブのシャバービーに匹敵するプロダクションといえそうです。...
View Articleアフロビート新世紀の予感 マーデ・クティ
フェミ・クティの息子マーデ・クティが、 父親の新作とカップリングでデビュー作を出しました。 上に掲げたジャケットはそのマーデ・クティのもので、 パネル仕様のCDの裏側を飾っています。 フェミ・クティは、あいかわらずのヘナチョコな歌いぶりで、 アフロビートに必要な強度を持ち合わせていないという理由から、 当方、デビュー当時から一貫して評価しておりません。...
View Article政権党の専属バンドから国民的バンドへ カトル・マルス
昨年オスティナートが出したジブチのグループRTDは、 世界中で高く評価されましたね。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-06-22 ワールド・ミュージック関連作の評価って、日本、アメリカ、 イギリス、フランス、ドイツと、国ごとにけっこう分かれるものなんですが、 グループRTDのアルバムは、どこの国の2020年ベスト・アルバムにも...
View Articleあなたはだあれ? イグナシオ・マリア・ゴメス
ノー・インフォメーションで買ってきたCD。 ワールド関係の試聴機の棚に並べてあったものの、 お店のポップがついておらず、どこの国の歌手かもわからず、 CDをいくら凝視しても、ヒントになりそうな記述は皆無。どなたさまでしょ? う~ん、ひさしぶりに味わう、このドキドキ感、いいなぁ。 ネット時代になって、みずてんで買うなんてことがなくなっちゃったもんねえ。...
View Articleいにしえのレンベーティカへの思慕 レラ・パパドプル
エル・スールの原田さんがコツコツと掘り起こしているギリシャもので、 ここのところ愛聴しているのが、レンベーティカ歌手レラ・パパドプルの90年代録音。 33年アテネ生まれのレラ・パパドプルは、 17歳で初めてステージに立ってアコーディオンを演奏し、 マルコス・ヴァンヴァカリスに始まり、ヤニス・パパイオアーヌ、 ヴァシリス・ツィツァーニス、マノリス・ヒオティス、ザンベータス、...
View Article贅沢な生音ライカ イウリア・カラパタキ&フォティス・シオタス
謎ジャケですね。 ギリシャ歌謡なんすけど、クラフトワーク?みたいなジャケットに、戸惑うばかり。 じっさい中身を聴いてみなかったら、とても出会うことはなかったろうアルバムです。 女性歌手のイウリア・カラパタキと、 ブズーキ奏者で作曲家のフォティス・シオタスの共同名義作です。 冒頭、13名のストリングス・アンサンブルによる流麗なインスト・ナンバーに始まり、...
View Article南ア大衆音楽史を消化した4人組 アーバン・ヴィレッジ
ノー・フォーマット!初の南アのアーティストというのも、なるほどです。 従来の南アのグループにはなかった、センスの新しさを感じさせます。 フランス人好みの洗練された音楽性が、このレーベルのカラーだから、 アフリカ音楽の野趣な魅力はもちろん求められませけれど、 グローバルなポップスのスキルを引き寄せて、 多彩な南ア大衆音楽をハイブリッドに再構築した展開が聴きものです。...
View Article蘇る80年代アヴァン・ジャズ セマンティックス
おぅ、なんて懐かしい! セマンティックスがCD化。 コロナ禍のインフォデミックに苛立ちを募らせている今、 またしてもセマンティックスを聴き返すことになるなんて、なんだか運命的。 ぼくにとってこのアルバムは、 バブルで世の中がイカれまくっていた86年当時の社会に、 抗うエネルギーを与えてくれた、貴重なレコードでした。 あのヤな時代に、クソったれと中指を立てた、ぼくにとっての「パンク」だったのです。...
View Articleルソフォン・ミュージックのマニフェスト ディノ・ディサンティアゴ
ディノ・ディサンティアゴの18年前作“MUNDU NÔBU” は、 ルソフォン・ミュージックのマニフェストと呼ぶにふさわしい、 新たなアフロピアンの時代の幕開けを象徴するアルバムでした。 https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2020-03-26 カーボ・ヴェルデのリズムを、 ヒップ・ホップ/R&B世代のエレクトロなサウンドに回収した...
View Articleルンバ・コンゴレーズの大ヴェテランの帰還 サム・マングワナ
タブー・レイ・ロシュロー、フランコの楽団で名を馳せた ルンバ・コンゴレーズ黄金時代の名歌手サム・マングワナの新作! うぇ~い、いったい何年ぶり? 03年の“CANTOS DE ESPERANÇA” 以来だというのだから、ビックリです。 若いアフリカ音楽ファンだと、サム・マングワナ、誰それ?という人がいるかも。 代表作として、フランコ楽団時代の名盤中の名盤を飾っておきましょうか。...
View Article続々登場するマルチニーク出身ジャズ・ピアニスト グザヴィエ・ベラン
こういう構図のジャケットって、なんか前にもあったような気が。 サックスをゴミ箱に投げる、A・C・リードのアリゲーター盤があるけれど、 もっとそっくりなヤツがあったような気がするんだけどなあ、 う~ん、なんだっけ。思い出せない。 ま、そんなどーでもいい話は横に置いといて、 マルチニークから、また新たなジャズ・ピアニストが登場しましたよ。 現在27歳という、グザヴィエ・ベラン。...
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