エル・スールの原田さんがコツコツと掘り起こしているギリシャもので、
ここのところ愛聴しているのが、レンベーティカ歌手レラ・パパドプルの90年代録音。
33年アテネ生まれのレラ・パパドプルは、
17歳で初めてステージに立ってアコーディオンを演奏し、
マルコス・ヴァンヴァカリスに始まり、ヤニス・パパイオアーヌ、
ヴァシリス・ツィツァーニス、マノリス・ヒオティス、ザンベータス、
グリゴリス・ヴィツィコツィス、パノス・ガヴァラス、
そしてステリオス・カザンツィディスといった歴代の名歌手たちの
伴奏を務めてきたというのだから、スゴイですね。
歌手としてより、アコーディオン奏者として長く活躍してきた人なので、
自身のソロ・アルバムは、晩年の90年代になってから、ようやく出したんですね。
エル・スールで買った“REBETIKA KAI SMYRNEIKA TRAGOUDIA” はそうした1枚で、
若き日の写真が飾られていますけれど、すでに60代後半となってからの録音です。
このアルバムが気に入り、ギリシャのお店をチェックしてみたところ、
もう2枚アルバムを見つけたので、早速買ってみました。
“TA MESOGEITIKA” は、アコーディオンを弾いておらず、
ディモーティカを歌った民謡アルバムでしたが、
97年に出た“SMYRNA - REBETIKA” が、レラの初アルバムだったようで、
タイトルどおり、スミルナ派のディープなレンベーティカがずらりと並びます。
“REBETIKA KAI SMYRNEIKA TRAGOUDIA” は、
男性歌手がハーモニーを付ける曲が多く、明るい民謡調の曲も歌っていますが、
“SMYRNA - REBETIKA” は、ブルージーな曲が並び、
9拍子のゼイベキコが多く取り上げられています。
レラは、スミルナからピレウス様式にレンベーティカが変わっていた時代の
音楽家ですけれど、スミルナ派を名乗ってソロ・アルバムを作ったのは、
古いレンベーティカに、強い愛着があったからなんでしょうね。
なんでも、小学生の頃からレンベーティカが好きで、女の子が歌うには、
あまりにふしだらな(?)男性向けの古いレンベーティカを歌っていたそうです。
アコーディオンは、スミルナ派の時代に演奏されたカーヌーンが、
ピレウス派の時代になって置き換わられた楽器ですけれど、
新しい楽器のアコーディオンをトレードマークとしながら、
古いレンベーティカ愛を持ち続けて演奏してきた、
ヴェテラン音楽家の矜持を感じさせる2枚です。
Lela Papadopoulou "REBETIKA KAI SMYRNEIKA TRAGOUDIA" Syban Soun AS657
Lela Papadopoulou "TA MESOGEITIKA" Athinaiki Diskografiki 134
Lela Papadopoulou "SMYRNA - REBETIKA" General Music GM5081 (1997)