ナハワ・ドゥンビアの久しぶりの新作は、オウサム・テープス・フロム・アフリカから。
オウサム・テープスは、ナハワの81年デビュー作と82年の3作目のリイシューを出し、
その権利関係をクリアにする過程で、コネクションができたんでしょうか。
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ナハワ・ドゥンビアのアルバムは、04年にコバルトから“DIBY” を出したのを最後に
音沙汰がなくなっていただけに、嬉しい新作の登場です。
ミュージック・テープ(カセット)のリイシュー専門レーベルである
オウサム・テープス・フロム・アフリカが新緑を制作するのは、
エチオピアのハイメ・メルギアほか、わずかの例しかないので、
カタログのなかでも貴重なアルバムですね。
クレジットによれば、18年から20年にかけて、サリフ・ケイタがオーナーの
バマコのスタジオ・モフーで録音されたとあります。
実は、内容を聴くまで、正直不安はありました。
6年前に、ハウスのサン・ジェルマンが出したアルバムにナハワが起用されて、
十年ぶりくらいに彼女の歌声を聞いたわけなんですが、
声が思いのほか荒れていたので、それで心配になっちゃったんですね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2015-12-28
でも、ノー・プロブレム。心配は杞憂でした。
昔と変わらないハリのある声を、声量たっぷりに押し出していて、
サビの利いた歌いぶりにも味が増しています。
プロデュースとアレンジは、ナハワのパートナーであるギタリストのング・バガヨコで、
デビュー作から変わることのない二人三脚ぶりが、安定感につながっています。
ナハワは、シカソのブグニを起源とする祝祭のダンス、
ディダディをトレードマークとして人気を博したシンガーですけれど、
今作の2曲目、そのものずばりの曲名‘Didadi’ で、
ディダディのクイーンぶりを発揮していますね。
その‘Didadi’ はじめ、子供のコーラスを従えた‘Hine’など、
泥臭く重厚なグルーヴや、5音音階のシブいメロディが満載で
ひさしぶりにバンバラらしいサウンドを堪能しました。
ここのところ、トゥアレグやソンガイの音楽に押されて、
バンバラの音楽を聴く機会がすごく減っていますけれど、
ナハワひさしぶりの新作は、バンバ・ワスル・グルーヴ以来の、
バンバラ音楽の快作です。
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Nahawa Doumbia "KANAWA" Awesome Tapes From Africa ATFA039 (2020)