エドナ・ラロシに続き、また一人コソヴォの女性歌手のCDを入手しました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2021-04-18
テウタ・セリミもエドナと同じプリシュティナ出身のシンガーで、エドナの3つ年上。
『ライヴ』を謳う09年作は、ライヴではなくスタジオ録音。
同じく『ライヴ』を題したエドナのアルバムはノン・ストップ形式で、
ライヴ感を演出していましたけれど、こちらは9曲を収録。
スタジオ録音なのに『ライヴ』を謳うのは、どういう理由なんですかね。
よくわからないんですが、15年作同様、全編アップ・テンポのダンス・ポップです。
テウタ・セリミは20年のキャリアのある歌手で、
ホイットニー・ヒューストン、マライア・キャリー、ローリン・ヒルなどを
聴いて育ち、ボブ・マーリーやUB40などのレゲエを通じてスカやロックステディを学び、
アルバニアのポップ・シーンにジャマイカ音楽を広めた人でもあるそう。
このアルバムにそうしたジャマイカ音楽の影はうかがえませんけれど、
ダンス・ポップのグルーヴ感を吸収したということなのかな。
打ち込みビートのうえに、ダラブッカやダウル(大太鼓)、ダイレ(タンバリン)の
パーカッシヴな音色を響かせて、フォークロアなサウンドを強調しているんですね。
クラリネットにズルナ、ヴァイオリンがソロを取るスペースも与えられていて、
カーヌーンが登場する曲などもあります。
アルバムを通してバルカン的なサウンドが支配的ではあるんですけれど、
ズルナとダウルのコンビネーションは、トルコ音楽の色合いが濃厚だし、
リズムのヴァリエーションも豊かで、
さまざまな出自の音楽がミックスされていることがうかがわれます。
いわゆるポップ・フォークのなかでも、
ブルガリアやセルビア、ルーマニアなどとは少し毛色が違いますね。
むしろトルコのアラベスクの方が近い感じがしますね。
気になって少し調べてみたところ、
この音楽は、タラヴァと呼ばれるものだということがわかりました。
タラヴァは、コソボのロマのコミュニティの音楽をもとに90年代に生み出され、
コソボのアルバニア語圏のコミュニティから発信されて、
アルバニアや北マケドニアで人気が高まったジャンルなのだそう。
さらに調べていくと、タラヴァには魅力的なシンガーが大勢いることがわかり、
片っ端から試聴して気になった人を、アルバニアのショップに現在オーダー中。
面白いアルバムがあったら、またここで報告しますね。
Teuta Selimi "LIVE" EmraCom/Lyra no number (2009)
Teuta Selimi "LOQKA JEM" Lyra no number (2015)