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レコメンドはデビュー作 ティスダス

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TisDass  YAMEDAN.jpg   TisDass  AMANAR.jpg

今年の春先、トゥアレグのギター・バンドの新作が、
ちょっとしたリリース・ラッシュになりましたね。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-03-04
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2022-04-13

そのなかで、ティスダスの新作“AMANAR” は取り上げませんでした。
祝祭感溢れるエトラン・ド・ルアイルや、アソウフの情感豊かなダグ・テネレと並ぶと、
トゥアレグ・ロックのティスダスは、
軽量級のドラムスが災いしてサウンドに重量感が足りず、聴き劣りしたもので。

そのティスダスの新作は2作目で、
デビュー作は15年にサヘル・サウンズから、カセットで出ていたようです。
カセットは未聴だったんですが、新作を制作したアソシエイション・ブルキナ・アザが
17年にCD化していたことを知り(現在廃盤)、運よく見つけることができました。

聴いてみて、びっくり。
デビュー作の方が、断然いいじゃないですか。
重量感のあるドラミング、エッジの利いたギターともに、
新作よりはるかに聴き応えがあります。

2作目では男女コーラスやパーカッションも加わり、華やかでしたけれど、
デビュー作は、ギター×2、ベース、ドラムスによる4人編成。
2コードのシンプルな曲を、ループ感たっぷりのギターがリードして、
ぱかんぱかんと打たれる手拍子とともに、じっくりと盛り上がるグルーヴは、
ティナリウェンばりのアソウフを感じます。

クレジットを見てみると、歌とギターのキルジャテ・ムサ・アルバデ以外、
1・2作目のメンバーは全員違っていて、ティスダスというのは、
キルジャテ・ムサ・アルバデのソロ・プロジェクトなんですね。
バンド名義なのに、ジャケットに一人しか写ってないのは、そういうことか。
キルジャテ・ムサ・アルバデは、ボンビーノのグループでベースを弾いていた人物で、
13年の“NOMAD” でプレイをしていました。
https://bunboni58.blog.ss-blog.jp/2013-05-10

キルジャテは、ニジェールのトゥアレグのマーケット・センター、チンタバラデンの出身。
タマシェク語で「柱」を意味するティスダスのグループ名で、
ニアメーを拠点に活動しています。エレクトリック、アクースティックともに、
典型的なイシュマール・スタイルのギターを弾きますが、
ロック色の強い‘Yhaviti-Yamiditine’ でのギター・ソロを聴くと(熱演!)、
ボンビーノからの影響も感じさせますね。
ヴォーカルは、ボンビーノやエムドゥ・モクタールより味があって、良いですよ。
CDは入手が難しいと思いますが、配信で聴くことができます。
(ちなみに配信のジャケットはサヘル・サウンズのヴァージョン)

それにしても、マリの政情不安のせいで、トゥアレグのデザート・ブルース・シーンは、
すっかりニジェールに移ってしまった感がありますね。

TisDass "YAMEDAN" Association Burkina Azza/Sahel Sounds BACD001 (2017)
TisDass "AMANAR" Association Burkina Azza/Bolingo Art BACD003 (2021)

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