ぽかぽかとした春の陽気に、ソンが聴きたくなって、
いくつかみつくろって買ったうちの1枚。
新作と思いきや、どれもこれも10年以上前の旧作で、
どんだけキューバのチェックを怠っていたのかと、反省しきり。
それにしても、ジャケットのなんたるやる気のなさ。
テキトーなデザイン、ここに極まれりで、ほんと、売る気があるんですかね。
ラテンはこの手のダメダメ・ジャケが昔から多くって、
ところが、なかには名作があったりするから侮れないんです。
ミゲリート・クニーのルンバ盤のボンゴ・ジャケットとか。
で、今回買った中でも、一番期待できなかったとゆーか、
こんなのに金払うのヤだなと思いつつ買ったアルバムなんですけど、
それが大当たりなんだから、ラテンはやっぱりわからん。
今回買ったソンのグループは、どれも初耳のグループばかりで、予備知識ゼロ。
あらためて、セプテート・ソン・エンテーロを調べてみたら、
キューバ中部カマグエイを拠点に活躍するグループとのこと。
このグループのフェイスブックがあったので、バイオを読んでみると、
93年結成で、本作は3作目とあります。
トレスにトランペット一丁を配した標準編成のセプテートで、
伝統スタイルのソンを聞かせる、まっことオーセンティックなグループなんですけど、
その演奏のみずみずしさ、フレッシュなリズム感に、心が浮き立ちます。
昔のままのソンの再生ではなく、
現代的なビート感やグルーヴをふまえて再解釈する志向は、
シエラ・マエストラが登場した時のことを思い起こさせますね。
こうしてソンの伝統は、ちゃんと継承されていくんだなあ。
なによりこのグループでマイってしまったのが、歌手のダウリン・アルダナ・ブデット。
これぞキューバといった声の持ち主で、
胸板によく共鳴する、朗々たる響きがたまりません。
う~ん、こういう野趣溢れる歌声が、キューバから聞かれなくなってしまったから、
すっとペルーにうつつを抜かしてたんですが(?)、なんだ、ちゃんといるじゃないか。
伝統ソンの美意識は、こういう声に宿っているのですね。
Septeto Son Entero "COCO PA' SU AGGO" Bis Music GBCD044 (2006)